理事 桑田 道子
これまでVi-Projectがサポートしてきたお子さんの年齢は1歳8か月から中高生まで幅広くいらっしゃいますが、サポートの開始時には未就学児であることが多いです。
「◆面会日時や内容のコーディネイト」と「◆面会当日のトランスファー(子どもとスタッフでの移動、子どもの受け渡し)」を繰り返し、家族みなが面会の実施に慣れ、自分たちで面会を継続して行ってゆけるようになれば、サポートの終結となります。
面会が特別な非日常的なイベントでなく、日常生活に組み込まれてゆくことが子どもの負担軽減につながっている様子も実感しています。
「どうなればサポート利用の終結といえるか」という問いはサポートの意義・目的とも合致します。
それを考えるにあたって、サポート期間を〇年間と制限することも検討しました。しかし、サポート開始時の子どもの年齢によって、〇年間という面会経験が家族メンバー全員に及ぼす影響は随分異なるため、制限は設けず、ひとつの目安として子どもが小学校を卒業するまでに自分たちで面会を実施できる方法を一緒に見つけていきましょう、という目標を設定しています。
実際に面会を行うなかで、どんな場面でお互いに感情が揺さぶられるのか、いら立ちを感じるのか、話がまとまらないのか、負担が生じるのか、そしてそれらはどのように折り合いをつけることが可能かといったことをそれぞれが経験します。
家族によって、どんなことで揉めやすく、どうすれば物事が進むかは異なるので、サポート期間は、より少ない摩擦でやりとりを可能にしていく方法をそれぞれの家族が見つけるための練習期間であり、トライ&エラー&グッジョブ(試して、失敗したり成功したり)期間です。
数回のサポートで終結される家族もいれば、数年にわたってサポートを利用される家族もいて、それも自然なことと感じています。
たとえば、次回面会日時を決める際でも、仕事の都合上あるいは子どもの習い事の行事発表の都合等で、数か月前から決めておくのが良い家族もあれば、1か月前/1週間前に確定させるのが都合良かったり、常に次回日時が決まった状態で今回の面会を実施するパターンがストレスない家族や、次回の候補日を今回の面会日に紙に書いて渡して決めるのがストレスない家族、いろいろ試した結果「〇か月前に3つ候補日を挙げておいて〇日前に確定させる」パターンに落ち着く家族、早めに決めておけるほうが心の準備ができて良い人もいれば、早く決めてずっと頭にあるのがストレスなため直前のほうが気が楽という人もいます。
父母が互いに仕事のスケジュールがどんな具合かを知っている場合もあれば、何の仕事をしているかすら知らない間柄であることも珍しくありません。
それぞれの家族の都合、面会頻度等も様々なため、一律にこれがベストな決め方というものはなく、練習期間中に、自分たちにとって良い方法を見つけていきます。
ベストはないながら、「自分はとても忙しいから前日じゃないと決められない。前もってなんて絶対無理。相手がこちらの都合にあわせるべき」という主張に、そんな乱暴な言い分は対等な関係において何かを決めるときの決め方ではないと介入するようなこともありました。
日時の決め方、連絡の取り方、当日の会い方、過ごし方などまったく同じ家族はひとつもありませんので、それぞれが見つけてゆけるようサポートしていきます。
一旦決めたとしてもそれに固執するのではなく、子どもの成長やそれぞれの環境変化にあわせて調整してゆけるほうが良いので、決めたやり方を、落ち着いて粛々と実施してゆくことと、必要に応じて変化してゆく、そんなコミュニケーションをとりあえる土壌を家族のなかにつくってゆけることを目指しています。
(ニュースレター57号/2019年7月)