当NPOも15周年を迎える。「十周年を忘れていたので、15周年には記念イベントをやりましょう」という声が上がり、7月のシンポジウムに向けて準備中である。この15年の変化を辿りながら、私たちの活動を振り返ることができたらと思っている。そう言えば、設立時には大々的にイベントをやったなあと思い、HP上にあるニュースレターの記録を探してみたが、当NPO理事の他、大平光代さんと多田千尋さんを招いて、200人ほどが参加してグランキューブ大阪でやっていた。年月を経てはっきりと記憶していなかったことは残念だが、記録を読み返しながら、スタート時点で自分がどんなところにいたのかを納得と共に確認することができた。記録は重要である。
当時、十年を超えるトラウマの臨床実践や調査研究から、個別の問題と解決にのみフォーカスするのでなく、予防的に、あるいは回復支援的に、問題を含み込む文脈や背景に眼を向け、コミュニティの土壌を肥やすということを目指そうとしていた。そして、細々とながら、「DV子どもプロジェクト」や「Vi-Project」が活動を継続してきた。設立イベントのシンポジウムのなかで、多田千尋さんが「間接話法の支援」という言葉を使っているが、これらの活動はまさにそのような支援を目指すものだった。つまり、図としての直接支援もあるが、実は、その枠組みがもたらす地である間接支援が重要だということだ。この考え方は、私が立命館大学で展開している「東日本・家族応援プロジェクト」にも受け継がれている。
15年経っても理事長が変わらないというのは問題だと思っているが、実質的に動いてくれているのは、桑田・渡邉両副理事や事務局はじめ、若い世代の活動メンバーたちである。そんな折、先日の総会・理事会で、さらに若い世代を巻き込み、せっかくの活動の場をもっと活性化させていこうと話し合った。そんな矢先、たまたま立命館大学の修了生である小池英梨子さんと話していて、小規模組織を整えることが今後の活動展開によいのではないかとなり、本NPOの新しいプロジェクトとして立ち上げてもらう運びになった。題して「ひとネコケアプロジェクト」。「間接話法の支援」として「安心とつながりのコミュニティづくり」にそのままヒットする活動になるだろう。詳細は具体化してからのお知らせとなるが、設立時からさらに視野が膨らみ、進化しているではないかとほくそ笑んでる。
あらためて、もっと市民を巻き込んでのNPOとして発展させられたらと思うので、みなさまにもより一層の理解とご協力をお願いしたい。
(ニュースレター53号/2017年7月)