活動会員 福田央子・鳥元千栄
子プロは、DV防止法が定められた翌年2002年12月に立ち上がり、今年度で15年目を迎える。DV家庭に育った子どもへの支援を求める声をきっかけに活動を始め、トラウマや暴力被害による影響、女性への支援が整えられつつあった中で子どもへの支援が後回しになってしまう状況について学び、回復段階や状況に応じた支援のあり方を模索してきた。
親子が、安心とつながりを感じ、気持ちを活き活きと表現できる場となるように、またボランティアの集団として親子や支援者同士で関わり合いながらつながりを作っていくことができるように、活動を続けていきたいと考えている。
その中で、子どもへの支援を視野に入れた場が地域の中に出来はじめている印象や、親子同士のつながりが希薄になっている印象を受けることがあった。
社会的な状況の変化を踏まえて、子プロのあり方が、今の親子や支援者の現状にあったものであるかということを改めて見直していくことが必要と感じ、DV被害者支援の現場で活躍されている施設心理士の林久美子さんにお話を伺った。
林さんが行われている仕事内容・保護される対象、DV防止の流れの中での位置づけ、保護の現状と自立支援までの流れ、退所後のアフターケアについて学んだ。話の中で、SNSにまつわるトラブルや、自分のことで手一杯で子どもを看ることが出来なくなっているという家族像の変化が感じられること、保護をしている側として社 会的な現状を鑑みると「自立支援」いう課題が防止法に組み込まれているにも関わらずいまだに不十分であることを学んだ。
その中で、人と人とのつながりを作り育てる力が脆弱になりやすい現状があり、それを補うためにある福祉的な支援や地域のネットワークにつながっていくのが難しいほど、保護を経た後の支援が重要であるということを知った。
そして、その1つとしてアフターケアがある。これは、自立支援の中で退所後の人たちを対象として行われており、裁判所や役所に一緒に行き、手続きの手伝いをしたり、生活について話を聞いたり面接をしたり、退所した方々が形だけでなく自分の力で歩いていく手助けである。
その中で、新しい場所でのつながり方、元の地域との関係の保ち方、文化の違い、外国の人たちが異国の地でつながっていくには…という山積みの課題の中で、ちょっとしたことを話せる、アフターケアという存在は大きく、必要であると教えていただいた。
今回のお話を伺い、DV・虐待が認知されてきたとはいえ、まだまだ支援の手が足りないこと、社会的に十分体制が整っておらず、現場の力によって支えられていることを知った。
そういった現状に対して子プロの活動は保護されてきた母子が少しでもゆっくりと楽しい時間を過ごし、安心・安全な場所を体験でき、いつもとは違う人と関わるとても貴重な機会だと改めて振り返るきっかけをいただくことができた。
【2017年1月~5月の活動】
2ヶ所のDVシェルターにて派遣プログラムを実施しました。この間、団体では2、4月の2回実施し、子どもは1名が参加しました。施設では1、3、5月の3回実施し、子どもは20名、おとなは12名が参加しました。4月2日(日)には、施設心理士の林久美子さんをお招きし、「DV被害者への支援の実際」をスタッフ研修として行いました。
(ニュースレター53号/2017年7月)