面白そうな思いつきは、何でも実行してしまう自分だが、これについては多少考えた。よく耳にする話に、新婚旅行中のトラブルで成田離婚なんてのがある。確かに二人連れの旅行は大変なのだ。気のあったもの同士が数人で、つかず離れずの旅なら何度もしてきた。しかし今回は息子と二人、しかも四六時中一緒である。業者に手配してもらった宿も、当然ツインルーム。つまり、寝ても起きても一緒なのだ。 そう思うと、話の種がすぐに尽きてしまうんじゃないかとか、気づまりな事になるのではないかとか、思いもかけなかったことが気になってきた。 それに、いくら成人といっても息子なのだから子どもである。五分五分の責任でというわけにもいかないだろう。何があるか分からない海外を思うと、ちょっと不安だった。もっとも息子はといえば、何の気がかりもなさそうにパスポートや、旅の準備に駆け回っていた。 そしていよいよ出発。これがまた見事に嵐の中のスタートになった。前日夕方の台風情報など見ていると、とても明日飛行機で出発するような空気ではなかった。
(ニュースレター14号/2006年2月)