未知の国。未知の人達、それは好奇心と不安の素になる。冒険心と警戒心の程よいバランスが、知らない国を楽しく旅するコツだろう。 日本に生まれて育った私の中には、意識するしないにかかわらず作り上げられた基準が存在している。更に加えて私自身もまた、自分なりの行動規範を作り上げて暮らしている。それがあちこちに現れて、自覚させられるのが海外旅行だ。 東南アジアを旅するというと、裏で浮かんでくるのが「買春」の問題である。ジャンさんはタイの女性だから、そういう目的の観光客が不快でないはずがない。しかし観光ビジネスをしていれば、風紀委員の様なことばかり云っていられない面もあるだろう。バック・マージンの存在なども耳にしているから、次々の薦めを断ってばかりいる私達はほんとうに儲けの少ない客だ。気の毒でだんだん申し訳のない気持ちになる。でも一方ではそんな目的の観光客かも・・・と思われて打診されてることへの不快感もよぎる。到着早々、こんな複雑な心境を抱えることになるから、やはりパッケージ旅行より個人の方が気楽だ。
(ニュースレター16号/2006年8月)