自由の女神を知らない人はまずいない。アメリカを代表するシンボルのひとつだ。映画「猿の惑星」では宇宙船が墜落して、猿が支配する見知らぬ星にたどり着く。ところがそこが実は地球であったことを明かすのに、胸まで砂に埋まった自由の女神像を見せた。歴史的意味や価値はちがうが、知名度だけでいえば宇宙からも見えると聞く万里の長城やピラミッドにも負けないだろう。
時は一八八〇年というから百三十年くらい前、アメリカの独立記念を祝って、フランス人が女神像を贈る計画を立て募金を呼びかけて像は完成。ところが受取る側のアメリカで、像を立てるための台座の費用の募金が、なかなか集まらなかった。「そんなものくれるったって、どこに置くんだ?」「そんな大きなもの、置き場所作るのだってバカにならないぞ・・」「そんな物、いらねーよ」なんて言ってたのかもしれない。結局、女神像は六年かかって、やっとNYにたどり着いたのだそうだ。それが今では・・。
そして私が訪れたこの時には、女神を見下ろすように堂々と建っていたツインタワーは9.11でもうない。歴史はこんな風に、刻々、きざまれ続けている。
(ニュースレター28号/2009年8月)