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理事エッセイ
23.傍観者にならないこと /窪田容子

理事 窪田容子

またもや5年の息子が担任に叩かれたので、体罰についてどのように考えているのか尋ねる手紙を書いたら、担任は、息子にだけ叩かないように気を付け始めた。その後、息子を含めて複数の子を叩いたときも、息子だけを呼んで謝り、「お母さん、言うやろ。気を遣ってんねんで」と言ったそうだ。息子は当然その言葉が嫌で、「母さん、もう言わんといて」と私に言う。「だけど、言わないと、このまま叩かれ続けるよ。あなたはあんまり叩かれへんかも知れへんけど、他の子たちが叩かれ続けるよ。先生が間違ってるんやで。したらあかんことを、され続けて我慢することないんやで。それに、2年の時も3年の時も4年の時も先生に言ったら、先生もうしなくなったもん」と話した。息子が「え、母さん前も先生に言ってたん?そんなん言うの平気なん?」と驚いて聞く。「平気やで。だって、相手が間違ってるんやん。自分や誰かが侵害されてるのに、黙ってたら続くやん。黙ってることないんやで」と言うと、息子が「母さん、やるなぁ」と言ってくれた。これは私にとって最大の誉め言葉だった。

私が息子に言った言葉は、私が子どもの頃、欲しかった言葉だ。教師の体罰が当たり前のようになされていた時代に、私も随分叩かれ、怖い思いをしてきた。大きくなって、体罰が法律で禁じられていると知ったときの驚き。校則違反にうるさかった先生が、堂々と法律違反をしていたことにあきれる思い。同時に、それを知っていたはずの大人が、どうして教師の体罰を止めてくれなかったのかという失望も味わった。知識も体力もない子どもだけでは身は守れないのに。

いじめは、加害者と被害者だけではなく、傍観者が重要な役割を果たすと言われている。そして、傍観者が多くなるほど被害が大きくなる。これはいじめにとどまらず、あらゆる人権侵害に通じることだ。体罰もしかり。体罰を知り、介入しないことは、子どもには体罰を受けても仕方がないのだというメッセージを間接的に与える。あなたの体は暴力によって侵害されても仕方がないのだという無力感を与えてしまう。少し話が広がるが、人権侵害の最たるものである戦争もそうだろう。戦争も当事者だけの問題ではなく、傍観している国や人々がいるからこそ、継続されエスカレートしていく。そして、被害者は周りに見放されている、誰も助けてはくれないという無力感を抱く。人権侵害に対して傍観者であることは、間接的に人権侵害を肯定するメッセージと、被害者に対して強烈な無力感を与え、被害拡大を助長するのだ。

さて、この度の体罰。個別に言っても仕方がないと思い、叩かれた別の子のお母さんと相談して、クラス懇談の時に話題に出してから、体罰はなくなった。意図せず加害者になってしまわないことにも気を付けなければならない。そして傍観者にならないこと。まずは、身近な人権侵害に目をつぶらないことを大事にしたい。その姿から、傍観者にならないことの大切さを子どもたちが学んでくれたらと思う。

(ニュースレター23号/2008年5月)

 


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