理事 津村 薫
住んでいるマンションの町会で、班長が回ってきた。持ち回りなので、みんなお互い様だ。でも正直、「厳しいなー」と思うことがある。町会費を徴収するとか、回覧を回すとか、敬老会のために高齢者がいるかを調べるとか、夏祭りの金券を売るとか、ひとつひとつは大した用事ではないものの、気忙しい感じ。
今日は、夏祭り。私は「おでん」の炊き出し当番に当たった。うわー、原稿書きたい、レジュメ作りたい・・・と思うけれど、忙しいのはみんな一緒だしな。朝から集合して、大根を切ったり、じゃがいもの皮をむいたり。ちくわは半分に切るとか、それ以外にも、フランクフルトをボイルするとか、焼きそばのキャベツを刻むとか、大量なので、腰が痛くなったりして(笑)。ようやく一段落して、家に戻って、このエッセイを書いている。
この地域では、一番実施の早い夏祭りらしく、地域の子どもたちは、わくわく楽しみに待っているのだそうだ。夕方早くから、子どもたちが押し寄せるのかな。朝の段取りにも、覗きに来ていた子どもたちがいて、可愛いこと。自分の子どもが成人してしまうと、こういう行事とご縁がなくなるが、娘もお祭りにわくわくした時期があったんだな(きっと今もそうだけど、笑)。
おでんに、焼肉、焼き鳥にビールやジュース、フランクフルト、子ども向けの輪投げや福引、こじんまりしたお祭りだけど、それでも朝から汗をかきかき、力仕事をしたり、料理をしたり、頑張っている人たちを見ると、普段何もしていない自分をちょっと恥じる。
私は協調性に乏しい性質で、集団は苦手だった。町会というのもそのうちのひとつで、寄れば人の噂話・・・というのに辟易していた。「もう〇日も同じ洗濯物干してはる」なんて聞くと、「暇なんか」と内心思っていたが、実は独居者が自宅で倒れていたのだ。こうして複数の人が、窮地を救われた。もっと多面的にものを見ないといけないと思い知らされた出来事だった。
それからは、内心しんどいなーと思っても、「お互い様、お互い様」と自分に言い聞かせて、やる以上は気持ち良く前向きに!と考えることにした。会議の席では、「?」と思うような発言をした人が、協力し合って一生懸命作業をされていたり、人ってわからないもんだなーと思う。
早くもビールをつまみ食いならぬ、つまみ飲みしていた人がいた。「津村さん、飲めるの?」と聞かれた。まったくの下戸だと言うと、「そんなふうに見えへんのにね」と言われた。いったい、どんなふうに見えるんだろう(笑)。
忙しく生きていると、身近な人と知り合う機会が、本当に薄くなることを実感する。ちょっと反省して、できる協力はしていかなくちゃな。自分から積極的に動かなければ、せっかく身近にあるつながりもできていかないのだから。
さあ、お祭りだ。力を合わせて、おいしいものを作って、食べて、笑って、こういう作業が、確かなつながりに結びついていって、何かの危機を共に乗り越える力にもつながっていくのかな。
(ニュースレター32号/2010年8月)