理事長 村本邦子
このたび「FLC安心とつながりのコミュニティづくりネットワーク」がNPO法人として認可され、ここにスタートしました。「NPO法人FLC安心とつながりのコミュニティづくりネットワーク」の前身は、1990年に設立された女性ライフサイクル研究所の「FLCネットワーク」です。このネットワークを中核に、このたび、新たに多くの素晴らしい理事たちを迎え、これまで同研究所が展開してきたさまざまな社会活動をさらに展開していきたいと考えています。
90年代、子どもの虐待、女性への暴力が次々と告発され、ようやく、それぞれに防止法が制定されました。次の課題は、それによって表面化した問題に、具体的にどう援助していけるかということでしょう。援助とは、被害者のみに留まらず、加害者への対処も含むものでなければなりません。また、個別の援助に留まらず、虐待や暴力が起こる土壌そのものへの働きかけが必要です。
十数年、女性や子どもの問題に取り組むなかで、私自身が到達した結論は、暴力は、基本的信頼感、安全感を損ない、人々のつながりを破壊し、希望を奪うものだということです。暴力は孤立感と絶望を生み、孤立感と絶望は、また暴力を生むでしょう。暴力に抵抗するには、私たちが希望をもって、同じ世界を共有するものとして手をつないでいかなければなりません。安心やつながりの感覚を強化し、コミュニティをエンパワーすることが大切なのだと思います。
これまで女性ばかりでやってきましたので、これからは、男性たちともつながっていきたいと、6人の男性たちに理事として加わってもらいました。皆、私の友人ですが、それぞれに、さまざまな領域でさまざまな活動を展開しておられる方々ばかりですので、これからは、私たちだけではできなかったまったく新しい試みを拡げていけることでしょう。とくに、今後は、これまでの経験をもとに、学生や市民ボランティアの養成に力を入れ、必要な方に、必要なサービスが届くシステムづくりに力を入れていきたいと思っています。会員の皆さまには、是非、積極的に活動に参加して頂けたらと願っています。
NPO法人として新たにスタートしたからには、このネットワークも、時間の経過、活動の展開とともに、変化し、成長していくことでしょう。いったいどんなところへ行き着くのか、私自身も予測がつきません。きっと、理事はじめ、会員の皆さまが、このネットワークをどんなふうに思い、関わってくださるかによって、方向づけられ、形づくられていくことでしょう。新しい冒険の旅に出る時のように、私の心はワクワクしています。
誕生したばかりのこのNPOを、どうぞ、よろしくお願いします。このネットワークから、安心とつながりのコミュニティが拡がっていきますように・・・。
(ニュースレター創刊号/2002年11月)