理事長 村本邦子
私たちのNPO活動も6年目を迎えました。本紙に報告がありますように、DV子どもプロジェクト、Vi-P(面会交流支援プロジェクト)も着実に事業を展開し、活発に活動しています。
昨年11月には南京へ行ってきましたが、この3月にはドイツへ行ってきました。ドイツと日本の戦後処理はよく比較されますが、ベルリン周辺のあちこちにあるホロコースト記念館、および関連機関に行ってきました。ドイツでは、2000年、連邦議会で可決された法律により、「記憶・責任・未来財団」という公法人が設立され、ナチス時代の強制労働被害者への補償給付の支払いと、人道支援、未来に向けて過去の記憶と交流事業を行っています。また、この基金が支援しているNGOのひとつである「平和条約違反への償い活動」という団体も訪れました。教会がベースになっていますが、過去の償い行動として、ボランティアを希望するドイツの若者たちを各国に派遣し、ホロコースト被害者のお墓、記念碑の手入れをしたり、希望のあるホロコースト・サバイバーの援助をしたりしているのです。償い行動が受け入れられるまでには、長い道のりがあったことと思います。その真摯な姿勢には胸を打たれました。
暴力の根っこはどれもつながっています。これまで長く暴力の予防活動に力を注いできましたが、未来の暴力防止のためには、過去の暴力(戦争)の清算(謝罪と償い)が不可欠なのではないかと痛感するようになりました。ドイツと日本の戦後処理の背景の違いは無視できませんが、暴力のない平和な社会を築いていくために、過去の過ちを認め、悔い改め、償う必要があると思います。私たちにもできることはないかと思案中です。毎年、南京を訪れ、中国の人々と交流する南京プロジェクトも進行中ですが、NPOの暴力防止プロジェクトともうまくリンクさせられたらと考えています。
1人の人間が一生のうちにできることは、ごく僅かですが、たくさんの人の力が集まれば、大きな力になります。自分の身近なところにあるできることからひとつひとつ積み重ねていけたらなと思っています。今後とも、みなさまのご理解とご協力をお願いします。
(ニュースレター23号/2008年5月)