理事長 村本邦子
継続することの力
先日、勤め先である立命館大学大学院応用人間科学研究科の10周年記念イベントをやりました。記念誌の発行、式典やシンポジウム、校友会の懇親会と、準備は大変でしたが、とても充実した1日で、しみじみと10年の喜びをかみしめました。同僚や院生、修了生たちに恵まれ、あっという間の10年だったなあと思います。1期生だった修了生たちも、今や立派な大人として、社会で活躍し、パパやママになっていたりします。基本的にほとんどの修了生が対人援助職者となるので、今では、仕事仲間として協働している関係も結構あるのです。何しろ、このNPOでプロジェクトを立ち上げ、回してくれている桑田道子(Viプロジェクト)、渡邉佳代・安田裕子(DV子どもプロジェクト)だって、うちの優秀な修了生たちなのです。
昨年は、女性ライフサイクル研究所の20周年を祝いました。あちこちから懐かしい方が駆けつけ、共に祝って頂き、それはそれは幸せな1日でした。こんなふうに年を重ねていけるのってなんて素晴らしいんだろうと思います。そして、あらためて、継続することの力の大きさを痛感します。人や社会に向けて行ったことは、ボタンを押せば何かが起こるというようなものではなく、タンポポの綿毛のように、知らないうちに知らないところへフワフワと飛んでいき、あるいは誰かに運ばれ、知らないところへ着地していくのでしょう。一粒の雨が集まり大海へ流れ込むように、他のものと合流していくものもあるでしょう。何がどんな形で花開くかわかりません。長くやっていればこそ、あの時の種がこんなところに生きていたよということを知るチャンスにも恵まれます。
逆に、負の力の蓄積は、それだけに怖ろしいものです。原発について学ぶにつれ、今さらながらに、私たちはいったい何てことをしてきたのだろうと絶望感に襲われます。自分たちの生活が知らないうちに他の誰かを犠牲にしてきたという構造は、何も今始まったわけではないのに。知ろうとしてこなかった、考えようとしてこなかった自分の責任だと思います。それにしても、私たちが無力化、無知化させられてきた歴史の積み重ねをどうやったら打ち壊していくことができるのか。今は、とりあえず10年、東北に通って、東北を見続けようと決意しています。
そして、私たちのNPOも来年で10周年を迎えます。細々ながらも続けることで生みだされていく力を見ることができたら・・・と楽しみにしています。
(ニュースレター36号/2011年8月)