ご挨拶
理事長 村本邦子
世代交代
いろんなところで世代交代を感じる今日この頃である。
2013年9月、南京にて、3回目になる「HWH歴史のトラウマを癒す」のワークショップを開催した。2011年の前回、公開プレイバックシアターで上演されるテーマを見ながら、「ああ、世代交代なんだ」としみじみ思った。そして、今回、次世代にバトンを渡した。いつの時代も上の世代は大きすぎる思いを次世代に手渡そうとするものなのかもしれない。若者たちは、受け取ったものから取捨選択しながら、新しい形を創造していくのだろう。
相談を通して子育てを見ていても、親世代が子ども世代に意図的に伝えようとしてきたこと以上に、無自覚に行っている行動や存在のありかたが子どもに伝わって行くような気がする。その一方で、あえて意図して伝えなければ伝わらないことというのもある。当然のことではあるが、親世代がどのように生きたかが次世代の土台を作る。
組織も同じである。このNPOでも、相変わらず私が理事長をやっているが、中心になって活動していく主体は若い世代に移行した。もうしばらくは、私自身も楽しみながら、ささやかな貢献を続けられたらと思っているが、少し背後に引いて見守りたい。十分にやれなかった苦い後悔とともに、新しい芽が出て成長していくことを楽しみにしよう。
同時に、私自身は上の世代から何を手渡され、受け取ってきたのか、今一度、よく考え、吟味してみる必要があると感じている。8月、中欧の戦争・平和関連博物館を巡りながら、緊迫した状況下にあってもなお、奥行きのある豊かな文化が生まれうることに感動を覚える一方、少なくとも70年戦争をしないできた日本はどれほど豊かと言えるだろうかと考え込んだ。歴史の学び直しをしながら、土壌を耕す作業に取り掛かりたい。
(ニュースレター45号/2013年11月)