活動会員 下地久美子
9月2日・3日に、女性ライフサイクル研究所京都支所で、第5回援助者研修『怒りのコントロールを学ぶグループ プログラム実践者養成講座』を開催いたしました。窪田と下地が講師を務めさせていただきました。
子どもへの虐待に対する対策が求められている一方で、専門家の間では、相談機関につながっても、その虐待行動を変えるプログラムがないとの声もよく聞かれます。私たちがおこなっています『怒りのコントロールを学ぶグループ』は、行動を変えるのに即効性があるといわれている認知行動療法を使っています。これは、コントロールできない怒りを子どもにぶつけてしまっている親に、怒りのコントロールを身につけてもらうことで、子どもへの対応を変えていくことを目指すものです。
虐待は世代連鎖しやすいことが知られていますが、親が怒りをコントロールすることができれば、次世代への連鎖をくい止めることもできます。私たちが、これまでに実践し、効果があったと感じている、このプログラムを役立てていただけたらと思い、今回で5回目となる援助者のための研修を実施いたしました。
この研修では、グループファシリテーター養成講座を修了し、グループの進め方や趣旨を理解していただいている方を対象とさせていただきました。グループで使用するテキストとグループを進める援助者のためのマニュアルを配布し、私たちがファシリテーターになり、受講生に実際にグループを体験していただくというスタイルで進めました。私たちもグループのプログラムを開発するときは、スタッフが実際にグループを体験する場をできるだけ設けるようにしています。自分が参加者として経験したことは、実際の参加者に対してグループを実施する際、非常に役に立つからです。
最後のセッションでは、これまでの実践報告を行い、実際にどのように活動に活かしていけばいいか、具体的な実践方法について、アイデアを出し合いました。2日間という凝縮された時間でしたが、とても意欲的な方が多く、活発な意見の交換がおこなわれ、充実した時間を共有することができました。
終了後のアンケートでは、ロールプレイと研修参加者の切り替えが大変、時間が足りないという声もありましたが、自分の怒りについて振り返ることができた。参加者の気持ちになって考えられるのが良かったなどの、意見が寄せられました。参加者のみなさんのご意見を参考に、来年度はさらに役に立つ講座にしていければと思っています。
(ニュースレター第17号/2006年11月)