活動会員 下地久美子
9月8日・9日に、女性ライフサイクル研究所京都支所で、第6回援助者研修『怒りのコントロールを学ぶグループ プログラム実践者養成講座』を開催いたしました。窪田と下地が講師を務めさせていただきました。
子どもへの虐待に対する対策が求められている一方で、専門家の間では、相談機関につながっても、その虐待行動を変えるプログラムがあまりないとの声もよく聞かれます。
私たちがおこなっている『怒りのコントロールを学ぶグループ』は、行動を変えるのに即効性があるといわれている認知行動療法をベースにしています。これは、コントロールできない怒りを子どもにぶつけてしまっている親に、怒りのコントロールを身につけてもらうことで、子どもへの対応を変えていくことを目指すものです。
虐待は世代連鎖しやすいことが知られていますが、親が怒りをコントロールすることができれば、次世代への連鎖をくい止めることもできます。私たちが、これまでに実践し、効果があったと感じている、このプログラムを役立てていただけたらと思い、今回で6回目となる援助者のための研修を実施いたしました。
この研修では、グループファシリテーター養成講座を修了し、グループの進め方や趣旨を理解していただいている方を対象とさせていただきました。グループで使用するテキストとグループを進める援助者のためのマニュアルを配布し、私たちがファシリテーターになり、受講生に実際にグループを体験していただくというスタイルで進めました。私たちもグループのプログラムを開発するときは、スタッフが実際にグループを体験する場をできるだけ設けるようにしています。自分が参加者として経験したことは、実際の参加者に対してグループを実施する際、非常に役に立つからです。
今回は、九州をはじめ、遠方から参加された方が多く、この講座が、じわじわと全国へ広がっていっているのを感じました。2日間という凝縮された時間でしたが、みなさんとても意欲的で、活発な意見の交換がおこなわれ、充実した時間を共有することができました。それぞれの職場でこのグループのノウハウを活かし、怒りをコントロールできずに悩んでいる親たちに役立てていただけたらと、思っています。
参加者からいただいた感想をご紹介します!
◆怒りのコントロールは、以前から関心があり、参加してよかったです。怒りは大切な感情。でも上手くコントロールしないと悪い結末になることがよくわかりました。よい自分を目指すのではなく、自分を大切にするためのお母さんの集まりに活かしていきたいと思います。(やすよ)
◆怒りのコントロールについて具体的に学べた。内容が濃く、飽きることなく参加ができた。実際の場面でもいろいろ応用ができそう。(杉 有可)
◆ロールプレイがわかりやすかった。内容が良く、実践に役立てていきたい。(堺 誓子)
◆具体的にどのように関わればいいかがよくわかった。実際に受講してみて、参加者の体感ができた。子育て講座と組み合わせて、ぜひ使ってみたい。もう少し講義の時間があるといいなと思った。(坪倉嘉隆)
◆実際に自分がグループに参加しながらというのは、ファシリテートの方法もわかり、流れも体験でき、とてもわかりやすいと思いました。資料も充実していて、ありがたかったです。実際に怒りのコントロールのプログラムに取り入れてみようと思います。(匿名)
◆「怒り」についてあらゆる角度から分析でき、グループ体験も結構楽しめました。子育てをしたことがなく、これまで見た親子の様子を話したので、ちょっと難しい面もありました。(荘田房子)
◆とても丁寧に詳細にプログラムが組まれ、実践形式だったので、わかりやすかったです 。DV、虐待経験のある母子への支援に生かしていこうと思います。(宮本・李・陽子)
(ニュースレター第21号/2007年11月)