活動会員 下地久美子
7月30日・31日に、女性ライフサイクル研究所京都支所で、第7回援助者研修『怒りのコントロールを学ぶグループ プログラム実践者養成講座』を開催いたしました。窪田と下地が講師を務めさせていただきました。
子どもへの虐待に対する対策が求められている一方で、専門家の間では、相談機関につながっても、その虐待行動を変えるプログラムがあまりないとの声もよく聞かれます。
私たちがおこなっている『怒りのコントロールを学ぶグループ』は、行動を変えるのに即効性があるといわれている認知行動療法をベースにしています。これは、コントロールできない怒りを子どもにぶつけてしまっている親に、怒りのコントロールを身につけてもらうことで、子どもへの対応を変えていくことを目指すものです。
虐待は世代連鎖しやすいことが知られていますが、親が怒りをコントロールすることができれば、次世代への連鎖をくい止めることもできます。私たちが、これまでに実践し、効果があったと感じている、このプログラムを役立てていただけたらと思い、今回で7回目となる援助者のための研修を実施いたしました。
この研修では、グループファシリテーター養成講座を修了し、グループの進め方や趣旨を理解していただいている方を対象とさせていただいています。グループで使用するテキストとグループを進める援助者のためのマニュアルを配布し、私たちがファシリテーターになり、受講生に実際にグループの参加者を体験していただくというスタイルで進めました。私たちもグループのプログラムを開発するときは、スタッフが実際にグループを体験する場をできるだけ設けるようにしています。自分が参加者として経験したことは、実際の参加者に対してグループを実施する際、非常に役に立つからです。
年々、遠方から参加してくださる方が増え、この講座が、じわじわと全国へ広がっていっているのを感じました。2日間という凝縮された時間でしたが、みなさんとても意欲的で、活発な意見の交換がおこなわれ、充実した時間を共有することができました。それぞれの職場でこのグループのノウハウを活かし、怒りをコントロールできずに悩んでいる親たちに役立てていただけたらと、思っています。
参加者からいただいた感想をご紹介します!
◆怒りの段階を追っていて、具体的でわかりやすかったです。市民のグループに対しても、自分自身の暮らしの中でも使えるものがたくさんあり、今後、実践していくのが、楽しみです。
◆怒りの仕組みがわかりやすく解説され、ス~ッと入ってくる感じでした。個人面接にも活用していけたらと思います。(神崎順子)
◆怒りのコントロールを学び、怒りの前後の「思考」や自分自身の考え方の癖について、見つめるよい機会となりました。怒りをものさしで計ることで、怒りが客観的にとらえられ、対処できるんだということを実感しました。(井畑洋子)
◆実際に参加者として体験することで、イメージがわきやすかった。虐待グループカウンセリングに応用していきたい。(柘植知好)
◆ 少数精鋭で、実際にグループの体験ができたのが、とてもよかったです。仕事で怒りをコントロールできない親に対するグループを実施することになっているので、今回学んだことが、すぐに役に立ちそうです。(眞田美紀)
(ニュースレター第25号/2008年11月)