怒りのコントロールを学ぶグループ
Peaceful Anger Management(PAM)の報告
活動会員 下地久美子
7月29日・30日に、女性ライフサイクル研究所京都支所で、第8回援助者研修『怒りのコントロールを学ぶグループ Peaceful Anger Management(PAM)』を開催いたしました。窪田と下地が講師を務めさせていただきました。
子どもへの虐待に対する対策が求められている一方で、専門家の間では、相談機関につながっても、その虐待行動を変えるプログラムがあまりないとの声もよく聞かれます。
私たちがおこなっている『怒りのコントロールを学ぶ(PAM)グループ』は、行動を変えるのに即効性があるといわれている認知行動療法をベースにしています。これは、コントロールできない怒りを子どもにぶつけてしまっている親に、怒りのコントロールを身につけてもらうことで、子どもへの対応を変えていくことを目指すものです。
虐待は世代連鎖しやすいことが知られていますが、親が怒りをコントロールすることができれば、次世代への連鎖をくい止めることもできます。私たちが、これまでに実践し、効果があったと感じている、このプログラムを広く使っていただけたらと思い、今回で8回目となる援助者のための研修を実施いたしました。
この研修では、グループファシリテーター養成講座を修了し、グループの進め方や趣旨を理解していただいている方を対象とさせていただいています。グループで使用するテキストとグループを進める援助者のためのマニュアルを配布し、私たちがファシリテーターになり、受講生に実際にグループの参加者を体験していただくというスタイルで進めました。私たちもグループのプログラムを開発するときは、スタッフが実際にグループを体験する場をできるだけ設けるようにしています。自分が参加者として経験したことは、実際の参加者に対してグループを実施する際、非常に役に立つからです。
年々、遠方から参加してくださる方が増え、この講座が、関西のみならず、全国へ広がっていっているのを感じました。2日間という凝縮された時間でしたが、みなさんとても意欲的で、活発な意見の交換がおこなわれ、充実した時間を共有することができました。それぞれの職場でこのグループのノウハウを活かし、怒りをコントロールできずに悩んでいる親たちが楽しく子育てしていけるようしっかり支えていただけたらと、思います。
参加者からいただいた感想をご紹介します!
◆怒りの構造がよくわかったので、日頃の業務に活かせそうです。特にワーク形式で問題点を整理しやすいのがよかったと思います。
◆しっかりしたプログラムで、理解しやすかった。
◆怒りだけでなく、子育てや人とのコミュニケーションについても学べたのがよかったです。関心を持っていた問題だけに受講して大変満足しました。
◆プログラムも詳しく書いてあり、テキストに沿っているので、相談業務に、すぐに活用できそうでありがたいです。自分自身の怒りのコントロールにも役立ちそう!
◆ 「怒り」というのにじっくり向き合ったのははじめてだったが、その仕組みを知ることで、怒りの背景がよく理解できた。こういうグループがあると、怒りを子どもにぶつけてしまうお母さんたちも安心だろうなと思った。
◆構成が大変わかりやすく、パッケージ化されているので、実践しやすそうだなと思いました。参加者としてグループに参加することで、課題に真剣に取り組め、終わったときに達成感を味わうことができました。
(ニュースレター29号/2009年11月)