怒りのコントロールを学ぶグループ
Peaceful Anger Management(PAM)の報告
活動会員 下地久美子
7月27日(火)、28日(水)に、女性ライフサイクル研究所京都支所で、第9回援助者研修『怒りのコントロールを学ぶグループ Peaceful Anger Management(PAM)』を開催し、窪田と下地が講師を務めました。
子ども虐待のニュースが後を絶たない状況の中で、虐待への早急な対応が求められています。しかし、たとえ相談機関につながっても、親の虐待行動を変えないことには、子どもへの虐待を根本的に減らすことはできないとの声も聞かれます。
私たちがおこなっている『怒りのコントロールを学ぶ(PAM)グループ』は、行動を変えるのに即効性があるといわれている認知行動療法をベースにしたものです。すぐに子どもにキレてしまい、怒鳴ったり暴力をふるったりしてしまう親に、怒りのコントロールを身につけてもらうことで、子どもへの対応を変えていくことを目指しています。
虐待は世代連鎖しやすいことが知られていますが、親が怒りをコントロールすることができれば、次世代への連鎖をくい止めることもできます。私たちが、これまでに実践し効果があったと感じているこのプログラムを、現場で親の支援をしている援助者の方にも広く使っていただきたいと思い、援助者のための研修を実施しました。
この研修では、グループファシリテーター養成講座を修了し、グループの進め方や趣旨を理解していただいている方を対象とさせていただいています。まず最初に受講者にグループで使用するテキストとグループを進める援助者のためのマニュアルを配布します。グループの進め方について講義したあと、私たちがファシリテーターになり、受講者には模擬のグループの参加者になっていただくという形で進めました。これは、自分が参加者としてグループを経験してみると、参加者の気持ちを追体験することができ、実際にグループを運営する際に役に立つことが多いからです。
年々、遠方から参加してくださる方が増え、この講座が、関西のみならず、全国へ広がっていっているのを嬉しく思いました。2日間という凝縮された時間でしたが、みなさんとても意欲的に学ばれ、活発な意見が飛び交い、和気あいあいと充実した時間を過ごすことができました。それぞれの職場でこのグループのノウハウを活かし、怒りをコントロールできずに悩んでいる親たちが楽しく子育てしていけるようしっかりサポートしていっていただけたらと思います。
今年も多数参加していただき、ありがとうございました。
参加者からいただいた感想をご紹介します!
◆怒りのコントロールを順序だてて、わかりやすく説明されていたのが良かった。さっそく親のグループで使ってみたい。
◆怒りのプロセスを知ることで、すぐに行動を変えることができなくとも、意識付けするだけでも、ずいぶん違ってくるのだろうなと思った。ぜひ東京でもやってほしい。
◆「怒り」という重い課題を、さらりとプログラム化されていることが興味を引きました。自分自身のイライラとも向き合うことができたのが収穫でした。
◆実際に自分が参加者となることで、参加者がどんな気持ちになり、どんなふうに変化していくかがわかりやすかった。
◆「~こうあるべき」という怒りを強める自動思考に気づき、それを別の思考に置き換えるというのが面白い発見でした。もっとたくさん例を出してもらったら、さらにわかりやすかったかも・・・。
◆怒りについて、段階を追って学べるのがよかった。保護者の方にも教えたいし、自分自身の振りかえりにも使いたい。
◆テキストを読んだだけではわからなかったことが、研修に参加して、すとんと自分の中に落ちた気がする。
◆内容が盛りだくさんで、ちょっと忙しかったです。うちに帰って頭を整理して、職場の研修にぜひ取り入れてみようと思います。
(ニュースレター33号/2010年11月)