Peaceful Anger Management(PAM)
グループ実践者養成講座 報告
正会員 下地久美子
7月31日(火)、8月1日(水)に、女性ライフサイクル研究所京都支所で、『第11回 虐待防止のためのグループ援助を学ぶ研修 Peaceful Anger Management(PAM)グループ 実践者養成講座』を開催いたしました。窪田と下地が講師を務めさせていただきました。
今回は、全国から13名の方が参加され、たくさん学んで、仕事に役立てたいという熱心な方が多く、外の暑さに負けないような熱い時間となりました。
参加者の受講動機として、虐待防止に取り組む中で、親の気持ちに寄り添い丁寧に関わっていっても、虐待を減らすことは非常に難しく、どのように対応すれば、親の意識や行動を変えることができるか日々頭を悩ませているため、関わり方のヒントを得たいという声が多く聞かれ、現場の大変さがひしひしと伝わってきました。
私たちがおこなっている『PAMグループ(怒りのコントロールを学ぶグループ)』は、行動を変えるのに即効性があるといわれている認知行動療法をベースにしたプログラムで、すぐに子どもにキレてしまう親に、状況を変える、怒りに気づいて行動を変える、怒りを強める思考を変えるなどの方法を用いて、怒りのコントロールを身につけてもらい、子どもへの虐待を減らしていくことを目指しています。
虐待は世代連鎖しやすいことが知られていますが、親が怒りをコントロールすることができれば、次世代への連鎖をくい止めることもできます。親が適切な叱り方を学べば、親の八つ当たりで、子どもが自己評価を下げたり、他者に攻撃的になるなどの否定的な影響を受けることも少なくなり、親子関係が悪循環に陥るのを防ぐことにもつながります。
この研修では、グループファシリテーター養成講座を修了し、グループの進め方や趣旨を理解していただいている方を対象とさせていただいています。まず最初に受講者にグループで使用するテキストとグループを実践する援助者のためのマニュアルを配布し、グループの進め方について講義したあと、私たちがファシリテーターになり、受講者には模擬のグループの参加者になっていただくという形で進めました。これは、自分が参加者としてグループを経験してみると、参加者の気持ちを追体験することができ、実際にグループを運営する際に役に立つことが多いからです。
2日間という短い期間でしたが、参加者の方々もすっかりうちとけて、現場での苦労を分かち合ったり、励まし合ったり、働く場所は違っても、互いに援助者としてのつながりが持てたように感じました。
それぞれの職場でこのグループのノウハウを活かし、怒りをコントロールできずに悩んでいる親たちが、少しでも楽になれるようにサポートしていっていただけたらと思います。
☆ 参加者からいただいた感想をご紹介します!
◆怒りについて、細かく深く理解することができた。プログラムを応用して、仕事に使っていきたい。
◆参加者の立場で体験できたのが、わかりやすくてよかった。
◆すぐに使えそうな内容が盛りだくさんでした。今後、個別相談やグループの中で活かしていきたいです。
◆現在関わっているケースの母親の気持ちを改めて考えさせられました。
◆怒りの全体像がよくわかった。怒りを知ることが、コントロールの第一歩と気づいた。
◆ファシリテーターの進行マニュアルがいただけたので、イメージしやすく、安心して実践できそう。実際にファシリ役を体験してみたかった。
◆怒りのプロセスを知ることができ、怒りのコントロールの方法を具体的に学べた。
◆心理面に深く入らずに、行動や思考を変えていくというやり方は、安全に実施できるので良いと思いました。
◆様々な職種の人の状況を知ることができたのが、よかったです。
(ニュースレター41号/2012年11月)