虐待防止のためのグループ援助を学ぶ研修
PAM(Peaceful Anger Management)グループ実践者養成講座について
理事 窪田 容子
正会員 下地久美子
虐待についての取り組みは、児童相談所をはじめ、様々な関係機関で模索されてきた。しかし、この研修を始めた頃は、たとえ関係機関につながっても、親の虐待行動を変えるのは難しいという声が、専門家の間で多く聞かれていた。
女性ライフサイクル研究所では、子どもへの暴力や暴言に悩む親を対象に、「子どもにキレてしまいそうなとき」(窪田・村本著、三学出版)をテキストに、アンガー・マネジメントをベースにしたPAMグループ(当時は名称は違ったが)を実施していた。効果を感じているこのプログラムを、現場で親の支援をしている援助者の方にも広く使って頂きたいと思い、援助者のための研修を実施することにした。
実践しやすいように、テキストに加えて、詳細なマニュアルを配布した。研修のプログラムは、簡単な講義のあと、私たちがファシリテーターになり、受講者には模擬のグループの参加者になって体験してもらう形を取った。参加者としてグループを模擬体験してみると、参加者の気持ちを体験することができ、グループを運営する際に役に立つことが多いからである。
2002年から毎年1回実施し、1回目から4回目までは村本と窪田が、5回目からは下地と窪田が講師を務め、今年で12回目となる。遠方から参加してくださる方もおられ、意欲的に学んで頂き、活発な意見が飛び交い、アンケートでもほとんどの方が満足と回答して下さった。
最初の2回は、フォローアップセッションを行い、プログラムを改良しての実践計画や、実際の実践活動を持ち寄り話し合った。PAMグループを実践中の方には、随時メールで相談を受けていた。しかし、3回目以降は、諸事情によりフォローアップはできなくなり、2日間の研修を実施するのみとなった。そのことで、当初目指していたNPOの活動の意義である、市民性、コミュニティ感覚に根ざした講座ではなくなってきた現状がある。この度、NPOの事業を見直すにあたり、NPOでのこの講座を終えることにした。このプログラムは、自由にアレンジして頂けるものとなっているので、これまでご参加して下さった皆様が、各地で役立たせて下さっていれば嬉しい。
(ニュースレター44号/2013年8月)