アドボケイト・プロジェクトは、2003年3月にスタートし、アドボケイトの養成講座入門、特講を実施しました。その後、メンバーで、ベイトマン著『アドボカシーの理論と実際~社会福祉における代弁と擁護』(西尾祐吾訳、八千代出版)をテキストに勉強会を重ね、ボストン・ケンブリッジ病院被害者支援プログラムでアドボケイトとしてご活躍中の春海葉子さんを招いての講演会、日本のアドボケイトたちの実態調査、大阪府ジャンプ基金を得ての研究報告書出版などの活動を行ってきました。アドボケイトとは何かについて明らかにすることと啓発という意味で一定の役割を終了したものとし、2007年3月でプロジェクト完了しました。アドボケイトである支援者たちへの意識啓発とケアという問題が、今後の課題として残りました。後半部分では、リラクセーションやアロマを使った援助者ケアグループなど試みてきましたが、この部分は、近い将来、新たなプロジェクトとして再生させる予定です。アドボケイトについて、丸4年、仲間と一緒に学びながら、援助職者たちが、アドボケイトの意識を持って働くことの重要性を痛感しています。身につけたことを活かして今後の実践・教育につなげていきたいと思っています。(村本邦子)
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インタビューをさせて頂いて、文字にできること以上に、現場で関わっておられる方々の声なき声を体感させて頂いた気がします。また、それぞれの現場での限界や問題点など、インタビューに関わらなければ、考えも及ばなかったような部分を知ることで、逆に私たちが関わっていける可能性についても考えさせられました。
勉強会に参加することでは、論理的にもアドボケイトについて、自分の中での整理が少しずつできていくのを感じました。(前村よう子)
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このプロジェクト担当者として関わり、活動全体を通して常に、「誠実な支援とは何なのか」ということを考えさせられてきたと思います。大変なこともありましたが、自分たちにできることを誠実に、責任を持ってやっていくこと、そのためのスキルを身につけることを目指して、学習会を重ねました。また、大阪男女共同参画活動事業補助金(ジャンプ事業)を得て、日本におけるアドボケイトたちへのインタビューを行い、それを冊子にまとめる作業は、あらためて、「有効なアドボケイトとは何か」という問いに向き合うような体験になったと思います。インタビューに伺った先の方から、「自分たちの使命をあらためて実感させられれる体験だった」とお言葉をいただいたことが、嬉しく思い出されます。また、援助者の疲弊、バーンアウトについて問題意識を高める体験にもなり、それが私たちの活動に変化をもたらしていったと思います。このプロジェクトを通しての体験を活かして、今後は援助者支援についてさらに勉強していきたいと思います。(津村 薫)
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このプロジェクトで、学びながら再確認したことは、「アドボケイト」とは、いわゆる「専門家」と呼ばれる人々によってのみなされるものではない、ということでした。誰かが誰のために行動するための目的や知識、スキルをしっかり持つことで、自分自身も磨かれ、仕事が楽しくなり、援助される人も幸せになる・・・、そんな相互の関係性なのだと感じました。そして、自分自身を資源として、最大限に活用するためには、自己管理が大切だということも。ここでの学びを通して、さらに自分自身を社会資源のひとつとして生かしていくことが出来ればと、また元気になった気がします。(森崎和代)
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アドボケイトについて学び、またインタビューをさせて頂く中で、他の方々の素晴らしい実践について知り、改めて自分の活動を見直す機会ともなりました。アドボケイトは、熱意だけでも続かないし、スキルだけで成り立つものでもないと思います。熱意を持ち続けながら、スキルも高めていくことについて、今後も学びを重ねていきたいと思います。(窪田容子)
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「アドボケイト」という言葉の理解にはじまり、最近になってようやく「アドボケイト」の意味と精神が、自分の中に根づいてきました。日頃おこなっている市民相談や学校カウンセリングの現場では、アドボケイトの視点が役に立つことが多く、このプロジェクトを通じて学んだことが、少しずつ活かされているのを感じます。
日本のアドボケイトたちへのインタビューでは、運営資金の問題、スタッフ不足など、様々な課題を抱えながらも、地道な援助活動を続けられている方々のお話を伺う貴重な経験となりました。そこから、援助者の二次受傷や過労などが、深刻な問題になっていることも明らかになりました。質の高い援助活動を続けるには、まずは援助者自身のセルフケアがとても大切です。
今後は、自分にできるアドボケイト活動を続けながら、援助者支援のためにできることをはじめていきたいと思っています。(下地久美子)
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アドボケイトの養成講座に始まり、講演やインタビュー、文献講読など、理論から実践まで、アドボケイトについて様々な角度から学んできました。アドボケイトについて学ぶことは、援助者としての自分の足元をもう一度見直す機会となりました。また、NPO全体の活動をアドボケイトの視点から捉え直し、意味づける機会となりました。今後、学んだことを援助者として、またNPO活動に活かしながら、そして、さらに学びを深めながら、よりよい援助を志していきたいと思います。(西順子)
(ニュースレター第19号/2007年5月)