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暴力防止プロジェクト
20.プレイバックシアターで体験する“違い”の感覚

高岡 昂太

現在、本プログラムでは「平和」、即ち多様性が担保され、個々の“違い”を引き受けることの重要さについて,改めて検討しているところである。一例として2007年5月8日立命館大学にて催された、アルマンド教授による「こころとからだで考える歴史のトラウマ~アジアの若い世代が継承する戦争体験~」で感じた“違い”を皆さんに少しでもお伝えできたらと思う。

プレイバックシアターとは、参加者によって語られた過去の記憶や夢、実話等を元に、舞台上のアクター達がそのストーリーを即興劇として再現する(=play back)ものである。今回はフロアの参加者に、継承する戦争体験を舞台に上がって語ってもらい、舞台上のアクター3人がその語られた内容を表現していった。

戦争というテーマより、参加者は政治や文化、民族そして様々な感情が交錯する形で個々の体験を語る。舞台上のアクター達は独自に参加者の語りを見事に表現していくが、観客席から見ている私は、参加者の語りと舞台の上で演じられた内容の一部にどうも“一致しない”印象があった。即ちそこに第一の違いとして観客席から観る「①語られた内容と演じられた内容の違い」を指摘できるだろう。

そこで、私は直接自身の体験を舞台の上で語りそれを確かめる機会を得た。私の語りは次のようなものである。<小学校2年の夏、戦争学習として祖父母に戦争のことを聞いてくる宿題を出された。当時の私はその宿題を忠実に、かつ純粋な気持ちで祖父母に尋ねたが、私の無邪気な思いとは裏腹に、祖父母は目に涙を浮かべながら語ってくれた。内容は「お国のため」という当時の精神から、徴兵されなかったことを近隣から非国民人として疎まれ、「死ねない」ことがどれほど祖父母にとってどれほど大きな重荷だったかというものである。そして当時の私にとって、大好きな祖父母が戦争で“死んでいた”かもしれないという恐ろしさと、ある種“死ねなかった”という祖父母の語りのギャップは、到底抱えきれるものではなく、非常に大きなショックを受け、自分には触れてはいけないことのようにただただ呆然と感じていた>。この語りを舞台上で演じてもらうと、先ほど自分が観客席から見ていたものとは異なって見える。舞台上では、当時の私が相当なショックと悲しみを感じていたという記憶の断片をアクター達が独自に再構成し、私の中に半リアルな感覚として立ち現れる。しかしながら、私が語った内容と演じられた内容は100%一致せず、60%程度だと思っている。即ち、舞台の上で「②自らの語りと演じられた内容の違い」を意識せざるを得ない。しかしながら、私にとって非常に大事だったのは、むしろ“完全には一致しない”という感覚、つまり残りの40%の方である。この40%の違いによって、間主観的な感覚が想起され、「③現在の私と当時の私の違い」を私は感じることができた。

私が今回体験したプレイバックシアターでは、短時間でこれだけの「違い」を生み出し、そしてそれを私の中で体験しながら共有できたと言える。もちろん同様なプロセスを、観客席に座っている参加者も体験していたのではないだろうか。このようにプレイバックシアターは、観客席と舞台から観た違いと、語りと即興劇の内容の違いによって、1つの内容に対して3つ以上の視点から違いを認識することも出来る。またコトバと身体という両方のチャンネルを通して“違い”を体験・体感しながら共有できる有用なツールだと言えるだろう。本非暴力一次予防プログラムにおいて対象は小学校低~中学年と現在考えているが、人数、語り演じる内容、環境要因など詳細な検討を行なう必要はあるものの、小学生の児童にとっても個々の“違い”を体験・体感しながら認識できるプレイバックシアターのエッセンスは、非常にわかりやすいものになるのではなかろうか。このように「平和」、即ち多様性という視点から、個々の“違い”を自らの中に引き受けるには、自ら体験・体感できることが、非常に大きなファクターになると期待でき、今後とも本プログラムを検討して行く上でプレイバックシアターの要素は、重要な視点として考えられるだろう。

(ニュースレター第20号/2007年8月)

 


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