活動会員 後藤 晶子
9月4日に子ども面会プロジェクトの第2回ミーティングを、新たな参加者も含め6名で開催しました。子ども面会プロジェクトというのは、両親の離婚などの理由で離れて暮らす親子の面会をサポートしようというものです。
2回目のこの日は、「supervised visitation」と呼ばれる親と子の面会サービスの活動を行う専門家向けのハンドブックの第一章を翻訳したものの読み合わせを中心に行いました。ハンドブックによると、現在年間100万人以上の子ども達が離婚によって影響を受けているというアメリカにおいても、このような面会プログラムは当初はありませんでした。1982年にようやく開始されると、アメリカのみならずカナダや他の国まで急激にその活動は広がり、すでに170を越える団体がスーパーバイズド ビジテーションサービス(以下、SV)を提供しているとされています。これはさまざまな研究から、子どもたちは離れて住まなくてはならなくなった親を、慕いつづけたり、見捨てられたと感じたりしており、SVの心理面からの重要性に加え、子どもの問題行動やIQにまでその影響があると立証されたことで専門的・公的な理解が深まってきたということが大きな理由としてあります。子どものよりよい発達のために、このSVはその必要性からもますます広がりを見せているそうです。日本とアメリカの社会的背景に違いはもちろんありますが、現在行われているものを参考にしながら、日本で求められる支援の形や私たちにできることを探っていきたいと思います。
次回予定されているハンドブックの読み合わせ部分は、現在提供されているSVサービスの内容についてです。始まったばかりのこのプロジェクトに興味・関心をもたれた方のご参加をお待ちしています。
活動会員 亀田 佐知子
親が離婚した場合、片方の親(同居しない親)とはぷっつりと縁が切れてしまうのが通常で、またそれが当然と見なされている日本の現状を考えると、今回のプロジェクトは是非とも取り組む価値のある内容だと感じました。それぞれの親の利害や心理状況に配慮しつつも、なにより子どもたちがより豊かな人生を送れることを最大の目標に、最初の一歩を踏み出せればと思います。心理・福祉方面の専門的知識などはもたない私ですが、「1人の娘として・母として」思うこと、感じることに耳を澄ませ、活動していきたいです。
活動会員 朝井 恵実
今回、初めて参加させて頂いています。「面会プロジェクト」は私自身の勉強になれば、と思っています。文献研究からのスタートで、久々の英文に挑戦することになり、少し四苦八苦しそうですが、いろんな方との出会いを楽しみにしながら頑張っていきたいと思っています。よろしくお願いします。
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活動会員 桑田道子
<ミーティングで輪読しているテキストより、」ご紹介します>
NYSPCC Professionals’ Handbook on Providing Supervised Visitation
Supervised Visitation スーパーバイズドビジテーションとは
スーパーバイズドビジテーション(以下、SV)とは、
「子どもの安全を保障する第三者の立会いのもとでの、養育していない親とその子どもの面会」と定義されています
日本では有子離婚の場合、父親か母親のどちらかにだけ親権が認められる(親権者と監護者とにわける場合もある)単独親権が定められているため、子どもは養育権をもたない親と離れて暮らすことになりますが、子どもたちは愛着を感じている人と自分の意志に反して別離させられるとき、痛烈な苦痛を経験しているといえます。
SVは多くの子どもたちとその親たちが離れている間に体験する、お互いの接触やかかわりを維持することの困難さに応じて発展してきたといえますが、北米では約20年前よりこの分野が注目されるようになり、様々な機関でサービスが提供されると同時に、提供者として経験を積みながら多くの専門家による研究がなされてきました。
その結果、子どもの自己像や自尊心のためには、養育している親と養育していない親、その両方の継続した心理面でのかかわりが重要であると結論づけられています。そしてまた、第三者立ち会いのもとでの訪問は子どもの精神衛生にとって重要であり、養育していない親への怒りや不信感を抱いている子どもたちにとっても役立つことが証明されています。
SVを通して、養育していない親は子どもを安全に、危険な状態へ追いやることなく、子どもと健康的な関係を構築する機会を持つことができると考えられています。
(ニュースレター9号/2004年11月)