活動会員 杉山暁子
Massachusetts Society for the Prevention of Cruelty to Children(マサチューセッツ子どもへの残虐行為防止協会)とはhttp://www.mspcc.org/
2月下旬から3月上旬にかけて、理事長の村本、面会サポートプロジェクト活動会員の桑田、杉山の3人が立命館大学法科大学院リーガルクリニック(女性と人権)に関するアメリカ視察のため、ボストンを訪問しました。その際、幸い面会センターについても調査することができましたのでご報告します。
2月28日の午後、ボストンから長距離バスで西に向かって2時間半、そこからさらに車で30分という長旅でしたが、面会センターのスタッフの方達は、手作りのサンドイッチやパウンドケーキ、名産であるラズベリーの入ったサラダを用意して迎えてくださり、そのあたたかさにとても感動しました。インタビューは、プログラム・ディレクターのシンシア・ジョンソンさん、その他のスタッフ2人、通訳として加藤洋子さんにご協力いただきました。
私たちが視察した Massachusetts Society for the Prevention of Cruelty to Children(以下、MSPCC)は、子どもや家族の権利や健康を守り、促進することを理念とする民間の非営利団体です。この面会センターへの訪問 は、面会プログラムのディレクターであるシンシアさんがSupervised Visitation Networkのマサチューセッツ州代表者の1人であることや、2003年春に大阪で彼女が「DV被害を見て育った子どもへの影響とサポート」という講演をされていたのを聞いたことがあったのがきっかけとなりました。
活動内容は面会プログラムだけではなく、主に4つの柱を元に展開しています。
ひとつめの柱は、「防止」に焦点をあてているプログラムです。乳児から3歳の子どもを対象にしている「Good Start」では、親になったばかりの人たちやこれから親になる人たちが一緒に安全を維持し、子どもを育てる家庭環境を作り上げるために必要としているサポートやスキルを提供しています。また、医学的・生物学的・環境的要因による発達の遅れている子どもたちを助けるための「Early Intervention」というプログラムがあります。
ふたつめの柱は、「家族を支援する」ことによって子どもたちを支援しているというものです。「Family Counseling Center」では、メンタルヘルス、アルコール・薬物依存による虐待や性的虐待への治療を行い、「Kid’s Net」では、家に住むことができない大きなトラウマを受けた子どもの世話をする里親・養子縁組をした家族と、またマサチューセッツ州の社会福祉局とのパートナーシップのもとで、家族を支援する活動をしています。
3つめの柱は、「地域」を動かすという活動です。1878年から子どものためのアドボケート(権利擁護の活動)を始め、アドボケートするボランティアは州全体に「Children’s Champion Network」というネットワークをもち、子どもや家族に変化を与える公益を促進しています。「Institute for Professional Education」では、両親や地域のためにワークショップを提供したり、子どもや家族と働く人たちのために出版や研修にも焦点を当てることで、教育的な資源の役割を果たしています。
4つめは、「変化を生む」ためにみんなで活動するという柱です。財団や企業、州・連邦の各機関、赤い羽根共同募金などからの基金や個人からの寄付、基金集めのイベントを開催する800人以上ボランティアが、プログラムの運営を支えています。(一部、MSPCCリーフレットより)
次号のニュースレターでは、スタッフの方達から伺った面会支援の現状をお伝えします。
(ニュースレター第11号/2005年5月)