活動会員 桑田 道子
Vi-Project(ビー・プロジェクト)では、社会福祉医療機構(WAM)より助成を受け、「離婚家庭に育つ子どもたちへのサポート事業-別居親子間交流援助プログラム作成のための現状調査-」を行ってきました(3月には調査報告書を発行しますので次号のニュースレターにてその詳細を報告させていただきます)。この調査の一環として、2月18日のミーティングに『離婚後の親子たち』の著者である氷室かんなさんをお招きして、離婚後、離れて暮らす親子の交流について、その取材、またご自身の経験からお話いただきました。
息子さんのいる氷室さんは、離婚を決心したときに、日本の法律では子どもの親権者をどちらか一方に選ばないといけないことを知り、「息子の世界から『パパ』を排除して、『ママ』が独占することをよしとするしかないのだろうか」と悩まれ、子どもが犠牲者にならない、納得のいく<離婚後>を模索してこられました。そして、現在、離婚(別居)後も子育てを協力する元夫婦を「ともにすと」と名づけて、本のキャッチコピーでもあるように「夫婦はやめても親はやめない」で父母両方が子どもの養育に関わっていくスタイルを実現させることを望んでおられます。
離婚後に、面会・交流が実施可能なポイントとして、●安定して生活できる基盤があること●当事者同士だけでなく、再婚相手・祖父母・周囲・社会の同意が得られること●別れた夫婦それぞれがその後の生きがいを見つけられていること●子どもの権利-の4つが挙げられました。これらを満たすための援助はすなわち、その人の人生設計にかかわる長期的かつ関わりの深い援助ですが、その一方で、シンプルな場面設定が有益なこともあり、そういったニーズにVi-Projectが具体的にどのように応えていけるか、ディスカッションする時間となりました。
(ニュースレター第15号/2006年5月)