活動会員 五味幸子
今号のニュースレターでは、2008年5月28日から31日までの4日間にわたって、フロリダ州ポンテベドラビーチにて行われた Supervised Visitation Network 総会(Supervised Visitation Network 2008 Annual Conference)について報告します。この総会には、Vi-Pメンバーの五味が参加し、日本における離婚をめぐる状況やVi-Pの活動についての発表を行いました。
このSVN(Supervised Visitation Network)による総会は年に一度開催されています。今年のテーマは、“It's All About the Links”〔やっぱ、つながりでしょ!(五味訳)〕というのもので、2,3の全体会および合計16のワークショップが実施されました。
全体会では、
「ネットワークの重要性 (It's all about links)」、
「専門職の自己ケア
(Taking care of yourself, so we can take better care of others)」
「クライエントの文化的背景に敏感な援助
(Concepts in creating culturally responsive services for supervised visitation centers)」
などのテーマについて発表があり、多様なワークショップが展開されました。
いくつかのワークショップのタイトルとしては、
「加害男性への援助(Working with abusive men in their role as fathers in a visitation program)」、
「資金集めについて(Funding supervised visitation)」、
「サポーティブ/セラピューティック ビジテーション
(Supportive/Therapeutic Visitation)」、
「コミュニティにおける連携について
( Developing and maintaining collaboration in your community)」
などがあげられます。こうしたタイトルからもvisitationをめぐって、さまざまな角度から関心が高まっていることが伺えます。
さて、私はSVN理事長Valya Robertさんとともに、90分枠のワークショップを担当しました。そのなかで、私が日本の報告を、Valyaさんがカナダ・オンタリオ州、およびイギリスの報告を行い、最後にフロアーの方々(約20名)と意見交換を行いました。本ワークショップの参加者のなかには、大多数のアメリカからの参加者のほかに、オーストラリア、イタリア、カナダからの参加者がおり、それぞれの国における離婚やビジテーションをめぐる状況について活発な議論が行われました。日本の現状において、まず協議離婚が90%を占める(厚生労働省統計データ)ということに対して驚きの声が上がっていました。日本における離婚をめぐる状況や制度の違いに高い関心が示されました。また、文化の違いについても、興味深い意見交換がなされました。たとえば、アメリカでは、リスクが高いケースにおいても、基本的には非養育親と子どもの安定した面会・交流は、子どもにとって有益であるといった考えは一般的であるといったことなど、それぞれの国の文化や一般的意識の違いなどについて意見が共有されました。
また、Vi-Pの活動に対しては、まだ規模は小さくとも、今後実績を積み上げて広がっていくのが楽しみだといった意見が聞かれました。加えて、今後のSVNの総会でその後の発展について聞かせてほしいという声も寄せられました。日本における私たちの活動の展開を楽しみにしていくれている人たちが日本の外にもいるということは、とても心強く励みになります。
私たちのワークショップの参加者は特に国際的な視野からビジテーションへの取り組みに高い関心を持っていて、非常に活発な意見交換が行われました。国際的なネットワークを強めていこうという意見もでて、ワークショップの後には、メールアドレスの交換等がなされました。今回、私自身が発表することの目的は、SVNの登録メンバーである私たちの活動を知ってもらい、国際的なネットワークをつくっていくことで先進的な活動から情報を得たり、学んだりする機会をつくっていくことでした。その目的は、まさに、今回の総会テーマに一致するものでした。
最後に、総会の全体的な印象としては、非常に友好的で、参加者の熱心な姿勢や態度が感じられるものでした。私が参加したほとんどのワークショップでは、最後の議論が時間切れになっていました。今回の総会への参加による私自身の学びをメンバーと共有し、今後のVi-Pの活動に反映したいと思います。
次回、2009年のSVN総会はカナダのオンタリオ州にて実施される予定です。今回の総会の終了とともに、次回へのスタートが切られました。すでに、今総会についての評価をもとに、次年度総会に向けて構想が練られているようです。
ワークショップの様子
夕食会の様子
(ニュースレター24号/2008年8月)