活動会員 津村彩香
私は年次大会の活動報告で興味を持って、高校3年生の時にVi-Projectに参加し始めました。スタッフのトランスファーに同行させてもらいながら、面会支援について勉強を始めました。
初めてのトランスファーは、小学校低学年の男の子でした。私自身が緊張して、他のスタッフと子どもの会話をただ聞いていただけでした。男の子は硬い表情で話している印象でしたが、待ち合わせ場所に近づくと急にキョロキョロと父親を探し始め、姿を見つけると途端に笑顔に変わり、無邪気にはしゃぐ様子を見せました。母親から子どもを預かり、父親に送り届けるまでの少しの間で、その様子を見て、私まで嬉しい気持ちになりました。
そのうち、私が一人でその男の子のトランスファーに行く日がきました。話すのはお互い初めてで、男の子は母親から離れるのに、不安な顔をしました。手をつなぎ歩きながら、緊張を和らげようと、私は「今日何時に起きた?」とか「今からパパとどんなことをして遊ぶの?」とか、冬休みの思い出などを聞いてみました。最初はぼそぼそと質問に答えるだけでしたが、父親の話や冬休みのことは、少し自慢げに話をしてくれました。その日は、父親がまだ待ち合わせ場所に到着していなかったので、2人で父親を探しました。父親が来ると、またあの明るい顔になり、父の元へ駆け寄りました。父と子が抱き合うのをみて、私までついつい笑みがこぼれました。
姉妹のトランスファーも継続して担当しています。初めはやはり緊張しているのか、笑顔はなく硬い表情でした。お姉ちゃんは母親から離れた移動中に、楽しみでしかたない感じで、ここへ来るまでの道中の話や、今の気持ちや妹のことなど、たくさん話してくれました。妹の方はお姉ちゃんのまねっこといった感じで、姉が緊張してるときは静かだし、姉がはしゃぎ出すと、楽しそうに飛び跳ねます。父親との待ち合わせ場所へ着くと、少しですが、お姉ちゃんが再び緊張した顔をしましたが、父親が2人の名前を呼ぶと、嬉しそうに駆け寄りました。
男女の差か、個人の差か、私が女性だからか、こちらに慣れる時間など、男女では違いが見られます。でも面会から帰ってきた子どもは、みんな何ともいえない明るい笑顔で楽しそうです。その笑顔や、楽しそうな様子を見て私は「また面会のお手伝いがしたい」と感じます。活動を始めて3年、子どもと少し余裕を持って会話できるようにもなってきたし、よく観察をして、記録することにも少しは慣れました。離れて暮らしても親子は親子だけど、離婚後に子どものことで協力することは、大変なことのようです。Vi-Projectのサポートがあって、子どもが別れた親と安心して会えて、つながりがあるのは、とても良いことだと思います。もっと勉強して、つながりをつなげられる、良いトランスファーサポートができるようになりたいと思っています。
Vi-Project活動報告「ハンドブック完成!」
桑田道子
立命館大学法科大学院・平成19・20年度文部科学省教育推進プログラム「地域密着型司法臨床教育の模索と拡充」事業の一環として、Vi-Projectでは「両親のためのハンドブック」と「プロジェクトリーフレット」を作成、発行しました。
『離れて暮らす親子のためのハンドブック』
(2009年3月発行、A5版 13頁)
離婚・別居後、離れて暮らす親子が交流を持ち続けることは、簡単なことではありません。ともすると別居親子の交流の場が、元夫婦の争いを再燃させてしまうことにもなりかねません。ですから、子どもの力となるような面会・交流となるためには、同居親・別居親、どちらもの努力と工夫が必要なのです。
子どもたちが、双方の親とあたたかなつながりを築き、維持していくために、両親ができることはどのようなことでしょうか。父親、母親に限らず、気軽に手にとっていただけるよう、コンパクトな読み物になっています。ご希望の方へ、1冊協力金200円+送料実費でお分けしていますので、NPO事務局(tsunagari@flcflc.com)へご連絡ください。
リーフレットも新しくなりました。
公的相談機関や弁護士事務所に置いて、必要な方へお渡しいただいているようです。周知にご協力いただける方がいらっしゃいましたら、お送りしますので必要部数をご連絡ください。
☆09年3月には、家庭裁判所調停委員さん向けの冊子に、Vi-Projectの紹介をして頂きました。これまでにもVi-P利用について、調停で話し合われることが何度もありましたので、関係者の方々に理解を深めていただける機会はとてもありがたいと思います。
(ニュースレター27号/2009年5月)