正会員 桑田道子
運動会、発表会、遠足、参観と両親も大忙しな秋がやってきました。運動会など学校・園行事も、日頃の子どもの学校での様子を知ることのできる面会のひとつとして、利用されている方々もいます。その日ぐらいはと父母が顔を合わせることを良しとされている方もいれば、プログラムを事前に送って、父母がバッティングしないように段取りを組まれたり、偶然会ってしまったけれど「ま、仕方ない」と大人な対応でお互いスルーしたり、子どもにやみくもに話しかけないように配慮されたり…。
この頃は防犯上、行事ごとだからといって誰でも校内に入れるわけでもないので、保護者ワッペンや首から下げる入校証を別居親に前もって渡しておくことも必要な学校もあります。行事にあわせセッティングするということは、親にとってはやりとりも気苦労も増えますが、上手に利用されています。
頑張って練習してきた成果を両親に見てもらえるのは子どもにとっても嬉しいことです。親にとっても、真剣な子どもの姿、はしゃいでいる姿に、「こんなことが出来るようになったんだ!」「こういうことがこの子は好きなんだな」と改めて成長を知ることができたり、どんな所でどんな先生やお友達に囲まれて過ごしているのかを垣間見れる、良い機会ですね。
入学式・卒業式を含め、運動会や参観などで父親の姿が増えたといわれて久しく、その一方、生徒数が減り保護者競技が成り立たなくなった、運動会の場所とりが必要なくなった、運動会の昼食は家族ではなく教室でいつものように子どもだけでとる(親が来れない人への配慮)など、いろいろと学校・園をとりまく家族の状況は変化していることもあります。けれども、親が来てくれるのをワクワク楽しみに待っている子どもの気持ちは変わっていないようです。もちろん親の盛大な声援が嬉しい子もいれば、恥ずかしくてやめてほしいと思う子もいたり、内心は嬉しいけれど嫌がってる素振りを見せたり、いろいろです。
ぜひ、「この時はこうするのが当たり前」とお父さん、お母さんが決めつけてしまわずに、子どもの喜ぶ顔が見れるにはどう動いてやれるだろう?と一緒に考えていけるような時間があればと思います。
また、この時期、季節の変わり目に加え、行事がめじろおしで体調を崩す子ども達も増えています。別居親にとっては、子どもの体調不良を聞くと、心配な反面、やっと会える1日なのにという気持ちがわくこともあるでしょう。コンディションを整えておくまでが同居親の役目だと言われることもあります。楽しみにしていた面会が延期になったり、人ごみを避け、体力を使わない過ごし方をするため予定していたことが出来なくなったりと残念なのはその通りですし、せっかく都合をつけたのにとイライラすることもあるのかもしれません。けれども、ここで「ちょっとぐらい大丈夫だろう」「相手がオーバーに言い過ぎだ」と子どもの体調に関する判断を見誤って、より具合が悪くなってしまうようなことが起きることもあります。それで辛いのは子どもですから、柔軟に対応しなければいけません。
このような場面で適切に判断し、対応できるためには、やはり日頃、どれだけ子どもに関する情報を父母が共有しているかということにつながっています。同居親にとっては面倒も多く、いつまでこんなことをしないといけないのかと思うこともあるかもしれませんし、別居親にとっては、いつまでも同居親が主体性をもつ子育てに不満が生じてくることがあるかもしれません。けれども、両親が子どもに密に関わることのできる時間は、限られた短い時間です。そうこうしている間に、子どもは子どもで自分で判断し、自分で行動して、親の手を離れていきますから、この短い時間をより有効に、大切に過ごすことにエネルギーを費やせるほうが断然良いですよね。
面会時に学校や園の写真を持ってきて、私達スタッフに見せてくれる子ども達もいます。ニコニコ嬉しそうに、あれこれ説明してくれます。私達にですらそうなのですから、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんだとなおさらだと思います。やはり、子どもの頑張りを見守る大人が一人でも二人でも多くいることは子どもにとって良いことなのではないでしょうか。
(ニュースレター37号/2011年11月)