正会員 桑田道子
10月21日、当NPOの第10回年次大会ではVi-Projectからスタッフ4名が参加し、活動報告を行いました。
桑田からはVi-Projectの基本的なサポートの流れに関する報告に加え、「トランスファー・サポート」についてご紹介しました。
トランスファー・サポートは、同居親からお子さんを預かり、お子さんとスタッフとで移動し、別居親のもとへお連れします。移動中におしゃべりする内容はもちろんのこと、同居親と離れるときや別居親と顔を合わせたときの子どもの様子など、注意深く見るようにしています。
別居親子の面会は婚姻時の夫婦関係が影響を与えるもので、すべての親の離婚を経験する子ども達にとって、面会が必要不可欠とは限りません。面会が子どもにとって負担となっていないか、という視点はサポート側にとって常に問われる視点でありますが、子ども達が見せてくれる満面の笑みに私達も安心をもらっています。そんな子ども達、家族の様子を皆さんにもお知らせできる機会となりました。
また、2007年よりスタートした有償での非営利事業も6年目を迎え、年間のべ約100件の面会支援を行っています。利用者の面会頻度は月1~2回、隔月、長期休み時と様々ですが、この数年にわたるサポートの間に、子ども達の成長と面会の継続性のなか、利用形態が変化してきたケースも複数出てきました。日帰りのみでの面会が宿泊込みの面会に変化し、より密な交流をもたれるように変わられたり、サポートの卒業を視野に入れ、片道のみのトランスファーに変化させたり、といったケースの変遷をご紹介しました。
Vi-Projectはお手本とできるもののないなか、諸先輩方にご助言いただきながら、日本の離婚家族に適したサポートシステムを手探りながら構築してきました。いくつものケースの調停や裁判に関わり、デリケートな事柄に着手しつつも、継続してやってくることができたのは、Vi-Pスタッフチームのおかげです。スタッフは皆、進学、就職、遠方への引越など人生の大きな岐路を経験しつつもVi-Pのミッションに共感し、Vi-Pを大切に思い、行動を共にしてきてくれました。スタッフへの思いを書き連ねていくといくら紙面があっても足りませんが、今回、彼女達とひとつ所に集まり(残念ながら全員ではありませんが)、Vi-Pの活動についてご報告できる機会は、私にとってもこれまでをふり返り、改めてエンパワメントされる機会でした。報告後、フロアの方々からもスタッフ一人一人のことを盛大にほめていただき、非常に誇らしく、ありがたい気持ちでした。スタッフ皆の有能さに私自身があぐらをかかず、Vi-Pとしてより細やかな、安定したサポートの提供に向け、精進していきます。
■年次大会に参加して 活動会員/後藤晶子
私は主に一昨年の秋に実施したティーパーティについて発表させていただきました。その時は時間の都合上発表しませんでしたが、まず「現在面会を実施、あるいは検討している母限定」で実施することになったことについて私自身は一抹の不安を感じていました。Vi-Pは子どもの立場に立っているため、母限定の会を実施することで父と母との間からの中立性を保っていないように見えることがあるかもしれないと感じたからです。でも実際はそのようなことはなく、母たちの間では面会を実施している人と話すことがほとんどないと、経験談を互いに話されたり情報交換をされており、参加者同士でエンパワメントされているような様子でした。私たちスタッフは今回の母たちの生の声を今後の活動に生かせていくことができればと思います。
■年次大会に参加して 活動会員/亀田佐知子
今回私は、Vi-Project の問合せ対応業務について報告いたしました。Vi-Projectに関心を寄せていただいた方からの問合せには、ほとんどの場合、まずメールでお返事しています。離婚後の面会をどうしようかと悩まれている同居親の方、長らく会えていないお子さんとの面会を一日でも早く実現したい別居親の方、Vi-Projectについて「ほんとうに信用できる団体なのか」と不安をお持ちの方や、「会わせてくれるんですね」と大きな期待を寄せてくださる方……など、さまざまな立場からのご質問をいただきます。おひとりおひとりがどんな情報を必要とし、何を期待されているのかを把握したうえで、私たちに「できること」と「できないこと」を過不足なくニュートラルな視点でお伝えすることがなによりも重要と考え、日々努力しています。
■年次大会に参加して 活動会員/津村彩香
昨年、開催されたティーパーティーでは、自分が管理栄養士という立場から、“日頃のストレスや疲れに良いもの”をテーマに、季節の食材を利用した、さつまいもとりんごの手作りケーキを参加された皆さんに出させていただいた。“ストレスにはビタミンCがいいんですよ”といったメッセージを添えて、帰ってからお子さんと食べられるように、はちみつとレモンでできたスコーンもお土産に用意した。普段のトランスファーの短い時間では見れないようなお母さんたちの表情や言葉を見聞きして、お母さんたちのためのティーパーティーだったが、自分の勉強のためにもなったと感じた。
(ニュースレター42号/2013年2月)