理事 桑田道子
Vi-Projectにとって繁忙期ともいえる夏休みが終わりました。普段は日帰り面会だけれども、長期休みには宿泊込となり、どこかへ旅行されたり、別居親宅で宿泊したり、といつもと違う過ごし方をされている方々もたくさんおられます。
毎回、面会後に別居親から届く記録も、この時期は一層長く、濃い内容になっていたりします。
♪一緒にお風呂に入り、一緒のお布団で寝る。♪久しぶりの「寝かしつけ」体験だった。♪離婚後、初めて祖父母に会わせることができた。♪これまで外食ではわからなかった子どもの好き嫌いを発見した。♪テレビやゲームのハマリ具合いがよくわかった。♪逆上がりができないと悩んでいたことがわかり手伝ってあげることができた。…と、どんなふうに充実した親子の時間を過ごされたかを知らせてくれています。
限られたわずかな時間の面会のみだと、場合によっては、子どもの姿を通して同居親に対して指摘したい点ばかりを見つけてしまいかねません。子どももよそいきモードで過ごして、本来の姿が見えづらいこともあります。それが、日常的な時間をより多く過ごすことにより、子どもがどんな人間か、別居親達が知ることができる面もあります。そして、一歩子ども達の日常に近づくことで、別居親も、日頃の同居親の頑張りや苦労を理解でき、感謝の気持ちを示されることもあります。子ども達にとって自分がどのような存在でいてあげられるかを、自分基準ではなく、「子どもが今、何を求め、どのように育っていけるとよいか」子ども基準で考え、刻々と変化する役割を担おうと頑張っておられる別居親もいます。
子どもの成長にあわせて逐次面会のスタイルを変化させることは、同居・別居親どちらもの協力が不可欠です。家庭裁判所で取り決めた面会方法などがあれば、なお変更は困難です。けれども、子どもにとっての面会の意義を忘れず、より父母双方が柔軟に、子どもの育ちに手を差し伸べていけるよう、お手伝いしていきたいと思っています。
夏休みが終わったと思っている間もなく、秋は運動会やおゆうぎ会、学習発表会、習い事の発表会と子ども達もイベント続きのシーズンです。通常の定期的な面会とは別に、別居親がイベントに参加できるよう調整したり、土日祝も忙しい子ども達とうまく面会日が設定できるよう、両親とのやりとりが密になります。元気に実り多い秋を過ごしていただけるよう私達も頑張ります。
また、11月下旬には立命館大学家族法研究ユニットによるカナダ(トロント・ロンドン)ヒアリング調査に加わらせていただく予定です。Vi-Project設立時よりスタッフとして長く関わってくれている当NPO活動会員の五味幸子さん(現在、アメリカの大学で研究室助手をされながら博士課程在籍中)にも現地コーディネイトを助けてもらい、新しい家事紛争解決モデルを学ぶことを目的に、カナダにおける子連れ離婚家庭の実態、面会がどのように行われ、支援されているかを、自治体・家庭裁判所・面会センター・研究者からヒアリングさせていただくことを予定しています。
次号ニュースレターではその最前線を皆さまへもご報告できたらと思います。
(ニュースレター45号/2013年11月)