理事 桑田道子
11月下旬、立命館大学家族法研究ユニット(二宮周平先生代表)からカナダ・オンタリオ州(トロント、ロンドン)へヒアリング調査に行きました。
現地では、自治体・家庭裁判所・面会センター・研究者等9か所を訪問し、オンタリオ州では離婚後の別居親子の面会がどのように行われているか、また、支援がどのようになされているかについて、家事紛争解決モデルを学ぶことを目的にヒアリングさせていただきました。
オンタリオ州では、行政が約30か所の民間の面会センターを統括する立場をとり、スタッフ教育や運営資金の助成を行っていました。さらに、「Office of the Children’s Lawyer」という行政機関では、心理職と法律職のスタッフが協働でチームを組んで、面会支援を提供したり、面会センターと家庭裁判所との仲介を行うなど、スムーズな連携が実現していました。
各面会センターでのサービスは、北米同様、大きくふたつにわかれるようです。
「Supervised Visitation(監視付き面会、以下SV)」と「Therapeutic Visitation(療法的面会、以下TV)」と呼ばれます。
SVはすべて裁判所命令による面会手段となりますが、決められた場所、時間に別居親子が面会し、スタッフが同席することで、別居親による連れ去りの危険や、子どもへの不適切な関わりを阻止でき、安全に子どもが面会できることを目的としたものです。
TVは、「裁判所命令のない面会をする場合」「SVを継続し、安全な面会が実施できると判断された場合」「SVと組み合わせて実施」と様々なケースがあります。SVよりもスタッフが両親に「子どもにとって良い面会」を提供できるよう直接的に介入します。自宅での面会を含め、子どもと良好な関係を築き、子どもの成長のためにどのように子どもと接することができるか、教育的に関わります。
また、家庭裁判所では判事から「家族をみる視点、個々人の非常に核心的な部分に踏み込んでいることを理解しておかなければいけないこと、ひとりひとりを大切に尊重すること」などを伺い、勉強になったのですが、その後、2件の調停に立ち会わせていただき、判事が当事者各々を尊重し、彼らにとってより良い策を見出す手助けをしている姿、先ほど伺った理念が実践されているのを目の当たりにし、非常に感動的でした。
たとえば「以前に子どもと好きな野球チームの話をしていればそれは必ずメモしておいて、次の時には今シーズンの試合について話したり、誕生日直後に会うならばどんなふうに過ごしたかを聞く」といったことも話され、信頼関係を築くこと、公的な場で境界を保ちながら個人的なつながりをもつことなども学ばされました。
離婚後の親子を囲み、他職種(法律、心理、教育、社会福祉職など)、他機関が連携し、サポートするオンタリオスタイルは日本でも広げていきたいサポートの輪だと思います。また今回、Vi-Pスタッフの五味幸子さんに、現地通訳・コーディネイトとして参加いただき、一緒に学ぶことができたことも私にとって大きな喜びでした。機会を感謝しつつ、この学びをVi-Pのサポートへと反映できるよう努めたいと思います。
(ニュースレター46号/2014年3月)