理事長 村本邦子
6月に、立命館大学で、日本コミュニティ心理学会第17回大会を開催した。この学会には、設立前のコミュニティ心理学シンポジウムの時代から参加していて、第7回大会も引き受けた。私が「コミュニティ」ということを考え、育ててきた土壌でもある。10年前には、ボストンよりメアリー・ハーベイさんらを招いて、被害者支援プログラム、コミュニティ介入や専門家の協働について学んだが、今回は、東日本大震災後の取り組みを続けている吉浜美恵子さん(ミシガン大学教授)、上山真知子(山形大学教授)、そして団士郎さん(立命館大学教授、ご存知のように当NPO理事でもある)による話題提供をしてもらった。
この報告をもとに、英語にして国際発信しようという案が盛り上がっている。被害者支援をするにしても、何ら情報がないなか、わずかな手がかりから、北米を手本に必死に学んで実践に活かそうとあがいていた20年前、世界をリードするトラウマ支援の先輩方と交流しながら文化的適応を考えていた10年前。そして、今は、家族やコミュニティをベースにした日本型、あるいはアジア型の支援を世界に発信していけるのではないかと思っている。5月には、大学でやっている十年プロジェクト「東日本・家族応援プロジェクト」を上海の国際精神療法学会で紹介した。
最近は、通訳に頼る快適さに慣れてしまい、言語的努力をすっかりやめていたのだけど、発信力豊かな仲間たちから、災害後支援についても、今や次々と新たな理論が生まれていることを知った。これまで、多くの先輩方が情報発信してくださったことから学ばせてもらってきたし、情報発信すると新しい出会いがあって、ネットワークも拡がる。いろんな助けを借りながらも。努力をやめてはいけないなと反省しているところである。
(ニュースレター第47号/2014年11月)