活動会員 小田裕子
当NPO子どもプロジェクト・DVプログラムは、「DV被害の影響を受けた子どもに対する援助をしてほしい」という当事者の方の声を受けて動き始めました。
準備期としてまずは、非暴力をはじめとする子どものためのプログラムや海外の取り組みなどの勉強会をはじめました。その中で、日本ではまだこの分野での体系だった子どもへの取り組みがなされていないこと、また、子どもだけではなく母子共に安心と繋がりを回復できるようなプログラムを提供することが効果的ということが分かりました。日本では前例がないため、実施にあたってのプロセスは、勉強会からグループ構造についての議論、プログラム作成、スタッフ養成と配置、事前当事者インタビューなど、全てが模索しながらの一からのスタートでした。
スタッフ養成講座を昨年の12月に実施し、2月の頭には事前当事者インタビューとスタッフミーティングを行いました。実際のプログラムは、2月から3月にかけての毎週日曜日、全6回「子どもとお母さんのための安心と繋がりを育むプログラム」というタイトルのもとに、子どもと母親のレジリエンシーを回復する非暴力プログラムとして行われました。前例のない取り組みだけに参加者が集まるかどうかという不安もありましたが、3組の家族(子ども4名、母親3人)が参加し、お一人もドロップアウトされず、それぞれが何らかの手がかりを得て、母子共に良い状態で終えることができました。
4月にはプログラム終了から一ヵ月後のフォローアップインタビューを終え、どの参加者からも「これで終わってしまうのは残念だ。継続的な機会が欲しい」という声がありました。また、スタッフ側からも「母子共によい変化が見られ、やってよかったなと思う反面、やはり気になる変化もみられ、単発ではなく継続的な支援が必要なのではないか」という声があがりました。
そこで5月のスタッフミーティングで検討した結果、今年度も同じ形態でプログラムを継続し、卒業生が集える機会(交流会・お茶会)も年に2回ほど設ける方針となりました。
今後のDVプログラム実施に関心のある方は是非、今後のミーティングにご参加くださいますようお誘い申しあげます。子ども達にとって様々な安心できる大人たちと出会う機会はとても重要です。DVを乗り越えていく親子の安心と繋がりの場作りに一人でも多くの方々のお力添えがあることを願っています。
(ニュースレター第8号/2004年8月)