活動会員 渡邉佳代
毎年2~3月にかけて企画している「子どもとお母さんのための安心とつながりを育むプログラム」の来所プログラム(開催場所を設定して、その場に来ていただくプログラム)に向けて広報活動を行い、1月29日に読売新聞社からプログラム案内を掲載していただきました。
今年は新メンバーたちが積極的に広報活動を行い、今まで広報してこなかった先を検討して広報先を広げました。残念ながら、今年は申込者が2組で定員に満たされず、プログラムの開催には至らなかったのですが、メンバーとともに力と心を寄せ合って広げた広報先では、今年蒔いた種がこれから根付いていってくれるのではないかと感じています。
プログラム開催には至りませんでしたが、案内に目を留めてくださった当事者だけではなく、当事者に関わる専門家からも問い合わせがあり、ニーズの高さを実感しました。当事者の方からは、「子どもの感情表現が気になる。DVは子どもにも影響があるのか」「子どもへの対応を学びたい。子どもとの関係を回復したいのだが、どうしたらよいか」と問い合わせがあり、必要に応じて情報提供や相談機関を紹介しました。また、専門家からは「プログラムを見学したい」「当事者から相談を受けているが、それ以外にもこうしたプログラムにつなぐ必要性を感じていた」など、問い合わせがあり、こうして情報発信をして他機関とつながっていく必要性を改めて実感しました。メンバーたちもそれぞれの広報先で手ごたえを感じたようです。
今後の活動としては、来年の来所プログラムまでの間、シェルターやステップハウスへの派遣プログラムを検討しています。今年は、新メンバーが積極的に活動に加わってくれて、今までのメンバーでは手が回らなかった助成金部門の担当者を新メンバーが立候補してくださり、今後、DV子プロが安定して継続的に活動を行うためにも、大きな力となってくれることをとても頼もしく、心強く思います。
今回、広報活動を行った新メンバーのうちの3名が、それぞれに感じた手ごたえと、今後の活動への期待を寄せてくださいましたので、次にご紹介いたします。
広報活動の感想とプログラムに対して思うこと
活動会員 伊藤瑞穂
私が担当した広報先は、児童相談所、家庭児童相談室、保健所、保健センター、男女共同参画センターなど県や市の相談機関が中心でした。方法は電話でプログラムの概要をアピールした後、案内チラシとNPOのパンフレットを送付しました。合計約20ヶ所への広報でしたので、半日くらいの時間が必要でした。反応は「参考にしたいので資料を送ってほしい」「来所者用にチラシをおいておきます」「ケースに紹介したい」などほとんどの広報先がプログラムに関心をもってくださいました。また「スタッフの参考にはできるかもしれないが、チラシをおくことはできない」という意見もありました。特に、普段顔見知りではない広報先に電話で説明し、関心をもっていただくことはエネルギーが必要な作業でした。
私は普段、行政機関で母子保健の仕事をしていますが、対象は広くすべての市民です。健康度の高い方、支援が必要な方さまざまおられ、個別的な関わりと環境(社会資源)整備の両方が仕事ですが、質・量ともに不十分なこともあります。特に今回のプログラムのように、特定の対象の一定の条件を満たす方に対する質の高い事業は、母子保健行政だけでは不可能です。参加者にとって地元の地域で行われるプログラムに参加することは「顔見知りがいないか」「市の人に秘密を知られるのは嫌」など安心して参加できない面もあるかもしれません。また、行政事業の民間委託とか、民間活力の活用などの大きな流れもあります。となると、NPOなど質の高い民間のサービスがあって、利用できることはとても必要なことだと思います。
今回のプロジェクトに関わらせていただいて、市民が民間のプログラムにつながられることは、いくつものハードルがある(行政直営のものは比較すると、とても簡単に利用につながられると思いました)と感じました。普段は行政直営のサービスの実施に追われていて、環境整備のためのネットワーキングについては、あまり時間とエネルギーを費やせていません。ニーズを持った方が、民間の支援にもつながられるように動いていきたいと思いました。
広報活動しての感想
活動会員 中村昌美
私が担当させていただいた3施設では、皆様快く引き受けてくださいました。とてもありがたいことでした。この場をおかりしてもう一度御礼申し上げます。ありがとうございました。
プログラムの実施には至りませんでしたが、以前からずっと今までやってこられたこととのつながりなども聞かせていただいて、今回のひとつひとつも次の何かにつながっていくのだと確かめられました。
今回皆でチラシを配布した先様のほとんどが、何かしらの専門施設でした(保健所や児童相談所など)。プログラムを利用していただくことはもちろん大事なことですが、このようなプログラムが存在し活動している団体があるということ、さらにさかのぼって、DVや虐待というものがあるということを多くの方に知っていただくのも大事なことです。例えば、専門機関にかかわっている人でなくても知ることが出来るように、チラシを設置する場所をさらに工夫することができると思いました。図書館やスーパー、地域の医院などのような日常訪れる場所にチラシを設置すれば、人々の目に触れる機会も増え一次予防につながると思います。次回からは、決して害にならないよう十分考慮が必要ですが、配置場所の選択も課題のひとつだといえます。プログラム実施はもちろんのこと、その他の可能性も考えていきたいと思いました。
今回のDV子プロ活動の感想
活動会員 山田進治
今回のDV子プロの活動はプログラムには至らなかったものの、私にとって非常に有益な活動でした。プログラムについて広報するという活動そのものが、何らかの組織の中の一人としてそのような活動をすることが、初めての経験でしたので。私は京都や大阪の女性センターや児童相談所を10ヶ所ほど回らせていただきました。チラシを持って、実際にそこに行ってお願いしてきました。やはり郵送ですますより実際に行き、そこの人と会うことで、人と人のつながりが生まれるかもしれないと考えました。私自身、個人的に女性センターや児童相談所の人と知り合いになれたらいいな、という思いもあったのですが・・。
結果としては、児童相談所や女性センターの方々は忙しくて、また他の団体もチラシを持ってくるわけなので、どれほどFLCネットワークを、また自分自身を売り込めたかはわかりません。そこでもっとFLCネットワークや自分を売り込んでおけば、児童相談所や女性センターからもっと有益な情報がもたらされてくることもありえたわけです。今後の広報活動の課題になりましょうか。しかし、どこもチラシを快く受け取ってくださいました。真にありがたいことでした。
施設によって規模が違うので、10部~100部を各施設に受け取っていただきました。今回はプログラムには至らなかったですが、なんらかの影響、効果を残せると思います。たった一枚のチラシが、ある人の人生を変える可能性があるのです。私自身、学校で見つけたたった一枚のチラシでFLCネットワークの活動を知りました。あれを見逃していたら、今FLCネットワークで活動はしていなかったでしょう。だから女性センターのチラシも誰かが持っていっていれば、その人には関わりがなくとも、他の人の役には立ってるかもしれません、そう思います。正直に申し上げて、私が一番楽しかったのは、FLCネットワークの皆さんと一緒に協力して活動できたことでした。これからも皆さんと共にがんばっていきたいです。
(ニュースレター第15号/2006年5月)