正会員 渡邉佳代
DV支援団体にご協力いただき、毎月の派遣プログラムを実施し始めて2年が経ちました。7,8月の派遣プログラムでは、プログラムの初期から継続して参加してくださっていた親子の成長と力を感じる月になりました。
7月、子どもグループでは紙皿ラケット作りを、母親グループではフリートークと呼吸法を行いました。紙皿ラケットは、身近にある紙皿と割り箸を組み合わせて羽つきのラケットを作り、羽はティッシュペーパーを丸めて作ります。今回は、継続して参加してくれている子どもたちが多く、夏休みに入ったばかりということもあり、真黒に日焼けして参加してくれる子どももいました。
『子どもたちのレジリエンスを引き出すプログラム・アイデア集』より、「紙皿ラケット」
この頃の子どもたちの様子を見ていると、以前のように集団の中で固まってしまうこともなく、最初からのびのびとからだが動いて全身で楽しんでいたり、グループの中でお兄さん・お姉さん役割をしていた子どもが、男性スタッフに構ってもらいたくて自分から寄っていく姿に、子どもたちそれぞれの成長を感じます。
こうした背景もあったのか、今回は紙皿ラケットの対戦の仕方をめぐって、子どもたちの衝突がありました。子どもたちが互いに関係を深め、この場に安心して参加できるようになったことを感じました。スタッフが子どもたちの気持ちを受け止め、双方の気持ちを代弁して言語化するような介入をすると、子どもたちは、自分の主張をしっかりとしながらも、人の気持ちを受け入れるということをやり遂げました。周囲の子どもたちも、心配そうに見守りながら、互いに仲直りする場を設定してくれるなど、子どもたちの連携プレイも目の当たりにしました。互いに関係しながら成長していく子どもたちの力に対して、信頼や喜びを感じるような、とても貴重な回でした。
8月は、子どもグループでは、パチパチびっくり箱を作りました。厚紙とゴムを使って跳ね上がるたくさんのパチパチが、紙の入れ物から飛び出るびっくり箱です。これには、お母さんたちも「夏休みの宿題の工作ができた!」と大喜び。今回は参加者数が少なかったからか、普段はリーダー的役割をしてくれている年長の子どもたちがスタッフに甘える姿や、「○○はキライ。イライラする」と行動化するのでなく、きちんと言語化する姿に、子どもたちが自分を表現したり、甘えたりする守られた場所の大切さを感じました。
母親グループでは、フリートークと動作法を行いました。夏休み中の子どもの話題では、子どもたちがそれぞれ地域の人たちとのつながりの中で支えられていることや、コツコツと宿題を頑張っている様子が聞かれ、胸が温かくなりました。動作法では、お母さん同士が体の力の入れ方や抜き方をサポートし合いながら、「右肩、よく頑張っているね」など声をかけ合って互いの体をいたわり、自分の体と心にも目を向けているようでした。終わりには、「○○さんに手を当ててもらった首の回りが、あったかい」など、からだを通して人とのつながりや温かさを感じていらっしゃる様子でした。
9月は、継続参加してくれている子どもたちの地域の運動会と重なり、参加者はありませんでした。飛び込み参加がある場合もあるので、終了時間までスタッフは待機していたのですが、スタッフ同士でこれまで子どもとの関わりで困っていたことや、チームで関わっていく際のそれぞれの役割分担や立ち位置についてなどを確認し合いました。参加者がなかったのは残念でしたが、普段はスタッフ同士でなかなかゆっくりとシェアリングする時間がないので、こうしてゆっくりと話し合い、子プロで大切にしたい安心とつながりを育んでいく関わりを確認し合えて、ほっこりとした良い時間になりました。
さて、これからのDV子プロは、毎年恒例のDV支援団体との合同クリスマス会、そして、ボランティア・スタッフ養成講座が12月にあります。今年のクリスマス会では、どんなことをしたら子どもたちが喜ぶかな・・、養成講座では、どんな方々にお会いできるかな・・と、今からとても楽しみです!
(ニュースレター29号/2009年11月)