2011年4~6月の活動報告
正会員 渡邉佳代
DV子どもプロジェクトでは、毎月実施している継続団体で、4~6月に以下の派遣プログラムを実施しました(5月は継続団体のイベントのため、子どもグループのみの実施)。
今季は親子の参加者数が少なくて残念でした。要因としては、団体の支援に関わる新規の子どもの数が昨年は少なかったことと、継続して参加している子どもたちが大きくなり、地域でのつながりが増えてきたことがあります。5月の台風の中、久しぶりに顔を見せてくれた子どもたちからは、地域での子ども同士のつながりが聞かれたり、それぞれの子どもたちの成長や回復が見られたり、とても嬉しい1日でした。子どもたちの状況や成長に合わせて、今後は継続団体とプログラムのあり方やペースについて、検討していく予定です。
一方、昨年度から年に数回断続的に派遣プログラムを実施している公的機関では、今年度も年5回程度の実施を8月から予定しています。公的機関に入所中の子どもたちが、毎回10名強参加する単発プログラムのため、スタッフ同士のチームプレイや積極的な関わり合いが必要になってきます。8月からの単発プログラムに向けて、参加者がなくお休みになった6月には、予定していたプログラムのロールプレイを通して、それぞれの視点から気づいたこと・やりにくかったこと、スタッフ同士が安心して参加するために、どんなサポートが必要かなど、積極的に意見を出し合いました。
「スタッフ同士が積極的に関わり合うために」「スタッフも楽しんで主体的に参加しよう」――最近、スタッフからしばしば聞かれるキーワードになりました。今年度も立命館大学から2名の実習生を迎え、現在、子プロのスタッフは20名程度。それぞれ学校や仕事、家庭を持ちながらの参加のため、毎回のメンバーが流動的で、スタッフ同士の意思疎通やチームプレイを如何に築いていくかが毎回の課題になっています。私自身、この数年はどのようにチームを作っていくのか、スタッフが安心・安全な関係性と場を親子に提供する責任を持ちながら、スタッフも楽しんでプログラムに参加するためには、どんなことが必要なのか、考え続けてきました。そうした問題意識から、女性ライフサイクル研究所の今年度の年報企画をきっかけに、スタッフの意識啓発を目的としたアンケートをこの春に実施しました。
アンケートでは、現在の子プロの課題として、スタッフ同士のつながりの希薄さが多く寄せられました。子どもの様子を介したスタッフ同士のシェアや、スタッフと子どもとのつながりはできているのですが、スタッフ同士が積極的に関わり合ってプログラムを作り上げていくという点では課題があるという意識が多く寄せられました。このことを受け、卒業メンバーや長く参加しているメンバーと話し合い、分かってきたことは、継続団体の子どもたちが安定してきたため、スタッフ同士が積極的につながり合わなくても、ある程度プログラムを回せるようになったということです。
派遣プログラムの初期の頃は、親子の生活も安定せず、子どもたちもプログラムの中で不安定だった時期もあり、スタッフも自然と助け合ったり、気持ちを互いに聞いてもらったりする関係が自発的にできていたように感じます。その中で、子どもが落ち着いて参加するためのグループ運営の「知識」の構築はされてきましたが、スタッフ同士の「体験」や「気持ち」の共有は弱くなってきたのかもしれません。
そう考えると、回復・成長してきた子どもメンバーと、流動的で入れ替わりのあるスタッフ・メンバーという、どちらも合わせて1つの子プロという生きたグループの自然な流れなのかもしれません。こうした状況に加え、今は新実習生の加入や新メンバーがファシリテーターやコファシリテーターに挑戦し始める時期でもあり、親子を抱える枠であるスタッフ集団の揺れが考えられます。どうにかスタッフ集団の再構成を図れないものかと頭を悩ませていたところ、毎回参加してくれているメンバーたちが、スタッフ同士がつながり合うための「きっかけ」づくりを始めてくれました。
6月には、プログラムの事前打ち合わせの前に、スタッフが負担なく自然な形で打ち解けられて、プログラムに臨めるようなアイスブレイクを行いました。ポイントとしては、短時間で気軽にできること、毎回のプログラム前にできること、スタッフの緊張が和らぎ、スタッフ同士で打ち解けられるような「きっかけ」となるものです。
両端をピンと張った新聞に、スタッフが交代でボールを投げるという、体をダイナミックに使ったワーク!!事前打ち合わせの「新聞で乗り物ごっこ」の実演と合わせて、大変盛り上がりました。こうしたウォームアップがあったためか、次のロールプレイでは活発に意見交換がされたように思います。小さなことでも良いと思える行動を、1つずつ積み重ねていくと大きな力になります。この小さな試みから、良い変化を起こしていく体験をスタッフと一緒に積み重ねていきたいと思っています。
(ニュースレター36号/2011年8月)