理事 渡邉佳代
2002年12月に子プロが設立されて13年、そして2005年に試行的な派遣プログラムを実施し、2007年の継続的な派遣プログラムを開始 して8年が経ちました。その間、プログラムは心理教育プログラムから遊びをベースとした自由度の高いプログラムに、そして設定した会場へ親子にお越しいただく来所プログラムから、私たちが親子の生活空間である施設やDVシェルターに出向く派遣プログラムへと移行してきました。
私自身の関心も治療から予防へ、個からコミュニティへと移り、「支援する」という行為や 、毎年入れ替わりのある後輩スタッフの育成について考え続けてきました。親子はもちろんのこと、親子を支親する人たちや私たち自身を含めて、より多くの人たちがエンパワーされるようなプログラムを…という思いで、試行錯しながら走り続けた月日だったように思います。
これまでの最大課題は「チームづくり」。子プロのスタッフ多くは、心理臨床や対人援助を学ぶ院生です。大学院の間に子プロに在籍し、その後就職状況によっては活動を離れざるをえないスタッフが少なくなく、それでも先輩から後輩に口コミで紹介があり、細々と途切れることなく活動は続いてきました。
コンスタントに入れ替わっていくスタッフたちと活動の共通理解を持ち、 と活動の共通理解を持ち、 と活動の共通理解を持ち、得てきた知恵や工夫を共有して、それらを蓄積していくにはどうしたらよいか、毎年苦労しているところでもあります。それでも続けてこられたのは、スタッフたちの柔軟な学びの姿勢から私自身が支えられてきたからでしょう。
「虐待やDVは対岸の火事のように思っていたけど、自分にも何かできそうだと思えるようになった」「何がしかの形で親子を応援し続けたい」「先輩スタッフから臨床家としての姿勢を学んだ」「臨床が怖くなくなった」など 、親子への眼差しが変わり、互いにエンパワーし合える関係性やスタッフ同士の支え合いと体験して、虐待やDV関係の支援機関に就職する院生も少なくありません。
現場で活躍する卒業生の様子を聴くと、タンポポの綿毛がそれぞれの土地で力強く根を張っていくように、子プロを巣立っていったスタッフたちから安心とつながりのネットワークが同心円状に広がっていくように感じています。
互いにエンパワーし合える関係性を築くこと、チームが自分にとっても安心で良いものであるよう、ささやかでも自分にできることを行動に移していくこと。これらを子プロではチームづくりの根底に置いています。
子プロのチームづくりを体験したスタッフ1人ひとりが自分や他者、所属するコミュニティに関心を持ち、信頼感を高めていくことが、暴力に対する最大の予防になるのではないかと願っています。
【2015年2月~9月の活動報告】
2ヶ所のDVシェルターに毎月交互に出向き、派遣プログラムを実施しました。この間、団体では4回実施、子どもはのべ11名が参加しました。施設では4回実施、子どもは57名、おとなは30名が参加しました。
(ニュースレター49号/2015年11月)