理事 下地久美子
7月3日(日)、いつもは春に開かれる交流会ですが、今年は夏に13回目となる「夏の交流会」を、天満橋のプチ・エルで開催しました。
音楽を通じて安心とつながりのコミュニティづくりを広げていけたらという願いの元に結成された、パールノート(村本邦子&長川歩美)によるピアノ演奏は、フォーレ、ショパン、ドリーブ、ベートーヴェン、ラフマニノフなど、美しい調べに、うっとりしました。
今年は、ピアノ演奏の後、参加者のみなさんと一緒に歌うという新企画をし、スピッツの「チェリー」を合唱しました。「素敵な音楽に癒された」「みんなで歌えて楽しかった」というお声をいただき、ホッとしました。
後半は、当NPO理事の団士郎先生のトークライブ。「家族のないしょ話」というテーマでお話しいただきました。「内緒」と「秘密」の違いからお話がはじまり、「内緒」は「在る」ものとして話されるが、「秘密」は隠して人に知らせない「在る」ことを明かさないもので、それが高じると「嘘」が生まれるというのはなるほどと思いました。
「家族」の間には、「内緒」や「秘密」がつきものであるけれど、軽いないしょ話が、周りに知られてはいけない「秘密」になってしまうと、「それは良くないことだ」と思いながらも、ずるずると続いてしまうということ。そして、手にしているものや目にしているものにきちんと向き合っていかなければ、どんどん問題はこじれていくというのも、ありがちなことです。
団先生がおっしゃる「問題が問題なのではなく、問題解決が問題だ」という指摘も、ハッとさせられるものでした。不登校や非行などの問題が子どもに起こった時に、それ自体は、よくある出来事であるのに、そのことを家族の中で「秘密」にしようとしたり、おかしな解決法で問題を先延ばしにすることこそが問題だというのは、本当にその通りで、勉強になりました。
問題の解決方法として、うまくいかないことは変えればいいし、うまくいっていることは続ければいいという、シンプルなことをしていけばよいという考え方も、いろんな場面で応用ができそうです。
世の中には、「秘密」を戦略的に使う人とそういう戦略を使わない人がいて、戦略的に使う人に巻き込まれると、望んでいないのに仲間にされてしまうことがあるので気をつけないといけないというのも、どなたにも、思い当たる節があるのではないでしょうか。
では、「秘密」は絶対にいけないものかというと、そうではなく、正しいことだけをしていこうというのに執着することで、「弱さ」に対するシンパシーを持てなくなってしまうことも問題。
「秘密」があるほうがいいのか、ない方がいいのか。「あるものはある」という事実に添っていく。そうやって問題解決の糸口を見つけていくことが大事だというのが、こころに響きました。
★ご参加いただいた皆さまからいただいた感想をご紹介します!
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◆素敵なピアノ演奏が聴けて、歌もみんなで歌えてとても気持ちがリフレッシュしました。
◆起こった問題を責めることだけのマスコミが目立つ昨今、今日のお話を聞き、現在の社会現象に納得しました。自分のあり方を謙虚に考える機会となりました。
◆暑い日が続く中、ピアノの涼しい音にホッとする思いでした。
◆団先生の『問題解決が問題』という言葉、心に留めておきたいです。
◆団先生のお話は様々な角度から発生するいろいろな事例に当てはまる内容で、これからの活動に活かしていきたいです。
◆ピアノ演奏は心が和み、明るい気分になりました。団先生のお話は、自分の家族にも起こりうる身近なお話でとても考えさせられました。
◆「内緒」や「秘密」はあってはいけないものというイメージでしたが、それらは「在る」もので、問題解決にはその事実に添っていくという言葉に、「内緒」や「秘密」に対する考え方が変りました。
◆問題はあって当たり前。どのように解決に導くか正解を知っている人はいない、迷って迷ってうまくいかなければ別の方法をというのを聞き、これまで肩に力が入りすぎていたなと思い、ヒントをもらえました。
◆娘と参加しました。「家族の秘密」について話しながら帰ります。
(ニュースレター51号/2016年7月)