先日、長女がインフルエンザにかかった。病院で薬を処方してもらったが、2日間高熱が続き立ち上がれないくらいの頭痛と眼痛を患い、とにかくしんどそうでかわいそうだった。私は長女を別室で看護していたので、次女は母を姉に独占される欲求不満状となった。
そんな最中でも、「ママはお姉ちゃんばっかり見てて、私のことはちっとも見てくれない!」と、拗ねたり、怒ったり、どんな時も自分の気持ちを真っ向から ぶつけてくる次女に付き合うのは、ほんとエネルギーがいる。説明して納得して、気持ちを落ち着かせるまで、直射日光を浴び続けているような感じで、ほとほと参ってしまうのだが、頭ではどうした方がいいのか、どうしなければならないのかちゃんとわかっていて、そうしようとするのだけど、気持ちがついてこず、 気持ちをなだめて切り替えるのを手伝って欲しいのだいうことが、目に見えてわかるだけに、イラっとするけどほっとけないいじらしさがある。
一方、長女は押しに弱く、感情でぶつかってこられると、簡単に引いてしまう。闘うよりは引くほうが本人は楽なんだろうし、それは長女の優しさでもある。家族生活でも集団生活でも長女がいてくれるから助かっている面は確かにある…が、自分で引き受けやすく、母以外の周りには遠慮して出さない分、病気になりやすいのではないかと心配になる。足して割ればちょうどいいのにと思うほど色んなことが正反対な姉妹だ。
長女の熱が下がり、ようやくリビングで妹とテレビがみれるようになると「うつしてたらどうしよう、迷惑かけてしまったな」とつぶやいた。妹は「それは迷惑じゃないよ、心配っていうんだよ」と、さらりとこたえていた。
自助自立の生き方を良しとする社会は、人に迷惑をかけたり、かけられることを否定する。しかし、人は決して一人では生きていけない。迷い、惑う時には、手をかけてもらう体験をすることで、助かった実感を得ることで、ホッとし、次へ向かう気力が湧いてくるのだと思う。また、自分だけで引き受けすぎることなく、人間らしく、人の間で生きることができるようになると、俄然生きやすくなる。迷惑かけることは悪いことでは無く、必然なのだと体得できるよう、長女はこれからもっともっといろんな人に「迷惑かけていこう!」ね。
(ニュースレター50号/2016年3月)